マッチングアプリはインフラだし世代差は非難されるべきではないがマチアプ世代差界隈は魔境

タイトルで主旨が概ね完結している割には長い

  • 生死にまつわる言及があります
    とくに希死念慮の表現を忌避すべき状況におありになる方には閲覧非推奨とします
    殺意のコントロールのしづらい状況のさなかにいらっしゃる方にもおすすめいたしかねます
  • 直接的な暴力描写はそれほど多くありませんがフラッシュバックなどが懸念される状況におありになる方には閲覧非推奨とします
  • 実際に会ってみた記録の章にはやや繰り返しの冗長性があります
    「はじめに」と「会ってみよう1〜3」は飛ばしてまとめの章までお読みになっても事足ります

 

見出しが3段階使える仕様だったことを今になって知ったため後ほど余裕があれば目次を修正するかもしれない

はじめに

若い女性である。
若い男性が苦手である。
細かく述べると、「先生/生徒」「先輩/後輩」「店員等サービス提供者/サービス受領者」「友人」などのような肩書きを持った状態で関わる相手であれば「その肩書きの人間」が下位に有する属性のひとつに「男性」があることにはとくに注意を払うことがないのだが、そういった肩書きを持たないうえによくいえばある種の自由さを有する男性が脈絡なく「オス」でっせな主張あるいは表現をしはじめるところに遭遇してしまうといままで(男性の)人間だと思い込んでいた相手が突然(オスの)何かだと知らされてしまったような驚きがあり、耐えがたい気分になってしま
*1
そして、その現象が起こる確率は年代が上がるほど下がる傾向があるように感じていた
だから、肩書きなくプライベートな場で接する男性*2の(とりわけ互いの印象を見定める時間が少ないところからプライベートな対面に結びつけなければならないアプリという状況下で知り合う)相手としては上の世代の方のほうが不安が少なく望ましいと考えていた*3
マッチングアプリを使い始めた私は、30〜50才くらい年上の方をメインにマッチングしていた
(下限としては40代前半くらいをひとつの目安としており(不惑という言葉のイメージも大きいかもしれない)、上限は考えてはいなかったが私がマッチした中では80代〜の方はいらっしゃらなかった)


人と親しくなることがあまり得意ではない
オフラインで会話のできる親しい相手が少ないうえに新しくどなたかと関係を築こうともしてこなかった生活に閉塞感をおぼえたこと、環境の変化が重なり現状の人間関係に思い詰めて孤独を受け入れられなくなりそうになっていたことがマッチングアプリを始める動機だった
これは逃げでしかなく不純だ
浅慮だったと言うほかないが、このときはこれしかないと思い込んでいた



マッチングアプリのメリットはなんといっても、苦手とする属性の条件を指定して互いに弾き、目的を一にして会えるところだろう
漫画やドラマなどの世界では学園ボーイミーツガールものや職場恋愛ものなどが跋扈しているが、現実世界において学業やお仕事を目的として集まっている人間たちの中で一部の個体がいきなり恋愛を目的とした挙動をとりはじめれば不幸な衝突を招きかねない
ヘテロ前提の家父長制によって駆動する社会(あるいはそれを駆動させているモデルでも)の中では共同体内に異性間恋愛が奨励される圧がかかっていたのかもしれないしもしかすると学校や職場での出会いはインフラとして機能していたのかもしれないが、現代の日本はそのような社会ではないはずだ
それならば異性との出会いという目的のみを単離させたマッチングサービスは社会善として存在すべきだと思っている

そして当然ながら、正式に認可を受けているマッチングアプリは未成年の登録ができないため、その中でのマッチはすべて成人同士の自己責任によるものであり、他者から非難されるものではない
と、ここまででタイトルの前置き部分の説明は終えた
あとはもう魔境の話しかしない


まだ人間でいたいならマッチングアプリなんてやめておけと、始める前の私を何としてでも思いとどまらせたかった

使わなくなっていくらか経つが、使っていたときのことを思い返すとあのままではいずれ気が狂っていたに違いないと思うしすでに私の体は人間のものではなくなってしまったかもしれない

メッセージ交換とマッチングをしてみよう

まず言葉が通じない

登録の直後から毎日毎日メッセージ通知が来た
しかし、言葉が通じない

まず第一声から敬語すら用いない相手の割合の高さには閉口させられた
*4
とはいえ敬語の問題程度は些事だと思わざるを得なくなるほど
以下のような

「ホ別05〜泊2」
「車内中イチゴ🍓
「今晩大人どう?」

といった読み方すら不明な隠語で構成されたメッセージも多かった


なおこれは
「ラブホテル代自分持ちで5000円で日帰りの同伴か、20000円で一泊の同伴をしないか」
「自家用車内にてコンドームを用いない腟内射精に15000円で応じてもらえないか」
「今晩個人間買春がしたい。売春をしないか」

の意で、大人は捻りなくおとなと読むらしい

こればかりが続くとはじめの頃はいくらか食傷気味にもなった
そこでマッチングコメントの欄に「『大人』のメッセージはお断りします」の一文を追加した
すると、「セフレどうですか?」という、初対面では常体を避けてほしいという願望がですます調によって満たされているメッセージが来た
(すべてのメッセージを開封しているわけではないがおそらく)初となる類の誘いだった
マッチングコメントを読むよう促すテンプレートをお返しした
すると、「ちゃんと読んだよ❢だから、お金無しのセフレにならない?って言ってるんだけど💦」とご返信くださったのでお断りのテンプレートをお返しした
すると「大人は嫌だっていうからお金抜きならいいのかと思った。。。」



相手はこちらの言葉をご自身なりに解釈なさったうえでご自身の望みを明確な言葉でこちらに伝え、一方私は「敬体で会話してほしい」「肉体関係を持ちかけないでほしい」と勝手な望みを持つばかりでそれを異なる解釈の余地が生じないよう丁寧に明記するでもなく、そのうえ望みに沿わないメッセージに対しては自分で筆をとることすらなく、あ、言葉が使えないのは私のほうだった

この方はその後無事に望みを遂げられただろうか


それにしても、息をするように「大人」の話をする男性アカウントの多さには驚かされた
きっとあそこは走り屋御用達の秋名の峠だった
日中の多くの時間にはただの峠の公道であり、この世の公道であるならば移動を目的とした通常のドライバーしか通っていくことがないかのような静けさでそこに鎮座しているが、それでも峠を攻めたい走り屋たちは確かにどこかで生きている
それなのにその欲を合法的に満たしてくれるサーキットはなく*5だからただの峠道が夜な夜な非合法サーキット化されてしまう
マチアプはそれすら内包した魔境だったのだろう
しかしこの時はまだ「『大人』は『大人』のアカウント同士で独自のネットワークを築いているのだろうから偶発的にメッセージの機会があったとしてもあずかり知らぬこと」としか受けとめておらず、この場所それ自体の伏魔殿ぶりからは目を背けていた

挨拶代わりの容姿批判

さて、メッセージを一往復して/させてみてまず「大人」の紳士諸君を省き、つぎにあまりに会話の成立しそうにない言葉遣いの方を省き(敬体でない方を全員お断りしてしまうとさすがに焼け野原)、意気投合できそうな相手とのマッチングを探る作業に入る


慣れるまで何かと厳しいことも多かったが、何より最も苦しめられたのは容姿批判だ
私は全員から見られるアイコンには顔を載せていなかったのだが、先ほどまで和やかに挨拶していたはずの相手から、やりとりを続けることになり本人画像を交換したあとになって攻撃的な言葉を吐かれるパターンが多かった
そこには言い表しがたい恐怖があったが、この頃の私はもうこのアプリを頑張るしかないというような妙な踏み込みかたをしていて引き返せなかった


「ブスだよねw」と気の利いた冗談でも口にするようなトーンでさらりと文中に挟んでそのまま話を続けようとする人
あなたのご判断によればブスであるところの私にそのご冗談を面白がってもらって満足したかったのだろうか

「〇〇さん(私)くらいブスだと可愛いとか言われたことなさそう🥹
当たり前にそりゃ記憶にございませんけど
あなたには推しの某アイドルさん*6のことを可愛いと述べる自由がありそのご感想に私も肯定的な反応を示したが唐突に私と比較しだす理由がおありなら伺いたい

「顔がダメで自信無い人タイプなんです(^^)もっと仲良くできたら嬉しいです(^^)」
私が私の顔に低い評価を与えていると解釈されたのはなぜですか?(^^)

「こんなにメッセージ続いたの俺が初めてでしょ(笑)不細工で許されるのは普通ならJKまでだよ(笑)」
色々と指摘したい点はあるがもうどうでもいい


皆「良いお天気ですね」とでも述べるかのように容姿を批判する
ここではそれが当然とされている
(ほんの数ヶ月で多くのこの類の言葉をかけられ、割合は体感では9割ほどだが、体感の記憶などは確実とは言えないものなので「過半数」くらいの表現に留めておくのが無難かもしれない)



存在を他者から確認されれば批判されること自体は避けられないしそれによって傷つくこともある
それでも(表現方法に一定のルールの課された)批判とは、対象の改善を促したり直接的には改善せずとも双方や周囲の思索を深めたりもするコミュニケーションだ

しかし容姿批判はコミュニケーションではない
(少なくとも表向き、)(後天的な身なりなどを除いた)先天的な容姿は一般社会のなかで評価の対象とされないはずだ
本人の大切な身体によって示される表れ方のひとつである点だけが尊重されるべきかつ唯一の価値であり*7ただ本人が自己実現のために変化を望む場合でなければ「改善」はありえない
つまり他者による容姿批判とは通常の批判とは異なり建設的な目標が設定され得ず、ただ批判者自身の満足だけを目的に発される、一方的な攻撃の言葉だ
*8

これを連日浴びると想像以上に精神を蝕まれる
私はこの攻撃者たちが信奉している審美基準を無批判に内面化することなど絶対にしたくないと望んでいるが、それでも、ただそう望むだけでは攻撃への耐性は上昇しない
情けないけれども


私は、女性が人から見られるとき、外見が自分から切り離して見られないことを知らなかった(あるいは知らないふりをしていられただけなのかもしれないが)

これ以前に生きてきた中で少なくとも表立って容姿に関する言及を周囲からされたことはなかった
親から「あなたのような者はせめて愛嬌くらいは振りまけるようにならないと」と言われたり可愛いおようふくについて「似合わないのに」といった趣旨のことを暗に言われたり、同級生から「いつかメイクをおぼえてみたら」といったことを遠回しに言われたりしたことなどは覚えがあったものの、攻撃される危険を感じたことはなかった

だが世界の中にはその常識の通用しない魔境としか言いようのない場もあるのだ

メッセージ交換のできそうな相手を判別するまではいくらか辟易するとはいえ流れ作業でもできるが、会話が続けられそうだと思った相手から突如攻撃を受けるのはとってもとっても疲れる、というか、いちいちまともに傷ついてしまう
結果を先に記すと刑事事件に遭遇してマチアプを数ヶ月でやめることになるが、それがなければこれらの中傷によっていずれ遠くないうちに別の形で精神的な問題を負っていただろう

会ってみよう

その1 Aさん

とにかく早くどなたかと会ってみないことにはここから抜けられないような気がしていた
そんなときに知り合ったAさんは、私が期待している趣味の話の合う相手ではなかったが、容姿のよの字も話題に挙げられることのないままメッセージ交換を続けられていた
同じ都道府県内で会える可能性のある人が私を除いて一人も見つかっていないというAさんからの誘いで、商業ビル内の大手飲食店でお会いした
対面したAさんからふいに、メッセージで話をきいていて注意したかったことがあると切り出され、もう少し明るく爽やかな生活に改めるようにといったふうな内容のお叱りをいただいた
(むりです)

ここで少々体調のすぐれない私は、自分の胃が受けつけないときにはたとえ会食という社交イベントそれ自体を目的として卓上に供された物であったとしても堂々とお残しする社交性の乏しさを発揮してしまう
犬ほどの社交性もないのに図々しくもドギーバッグをいただけないかお尋ねすることばかりはできてしまう性分は改められねばならないかもしれない
しかしこの日は店員さんのお手を煩わせるに至らなかった
お化粧室に立たれたAさんが、包む用にとペーパーを手にお戻りになったからである

一瞬時が止まりかけたのだが

私の感覚ではこれには違和感があったものの、わざわざ私のために労をお取りくださったのに無駄にしてしまえばお気を悪くされるかと思案*9して、未知のセルロースに包まれた経口摂りこみ可能な100kcal前後のエネルギーを有する物体をバッグにしまった
(私がこの物体をどの時点でどのように認識していたのかは今となっては思い出せない)

それからAさんは、明日からしばらく忙しくて手が離せないため必要な買い物を今日中に済ませておかなければならない旨を口にした
量の多い品を召し上がっていてまだかなり残量のあったAさんから、自分は食べているからフロアマップを一部もらってきてくれないかと頼まれた

マップを手に戻るとAさんはおらず、テーブルには五千円札が置かれていた

再び時が止まりかけたのだが

座ったり、立って周囲を見回ってみたりするが、やはりそこには食べ残しと五千円札しかない
一旦座り直してスマホをひらく
Aさんのほうからメッセージは届いておらず、こちらから安否確認をお送りするも反応がない

20分ほどして返信があった
次の人と会う予定もあるから出た、時間が迫っていて会計している余裕がなかった、置いてきたお札で払って帰るように、とのこと

えっと、他県の方とお会いになっているのかな???

さらにしばらくしてまたメッセージがきた
会う前にやりとりしている段階から返信の遅さに不満があったこと、リアルタイムでのやりとりであってもいちいち遅い、いざ会って話しても反応が鈍い、口数が少なくて不気味、などと綴られていた
フィードバックありなマチアプ利用者さんだ

「ごめんなさい」と入力してそれ以上何をどう返信すればよいか瞬時に分からず、まあどうせ何を書いて送ったところで嫌われているのだろうと思ったのでとりあえずレシートとお釣りの画像を目にも留まらぬ速さでお送りした

負けじと早い「交通費ってことで」との返信の後にブロックされた

呆然としたまま終わったのだがいつの間にやら「二人でお出かけ」は実績解除済みらしい
ひゃー

この方はわざわざ課金してアプリをお使いになっているのだから嫌いな相手と関わって時間を空費するのは得策でなく、そんな中でも私に帰宅して良いとお伝えくださったのだからきっと今回は恵まれていたほうなのだろう

さて、私の手の中には、飢餓の時代より受け継がれてきた倫理観によれば神様が宿っており、日本などの一部の地域での飽食の一方で依然として飢餓もなくならずまた地球のエネルギー問題は増すばかりの現代にあってやはり取り扱いに慎重さの求められる約100kcalが残されている

(私の住む地域のごみ処理施設ではサーマルリサイクル設備が稼働しております)*10


うーん、感覚の分かれるところかもしれないのですが
正解なんて分かるはずもない
一旦忘れたい

その2 Bさん

Aさんの件からやはり共通の話題がないことには会話が難しいかもしれないと感じ、趣味の一致を必須としてお会いする方を探しはじめた
そんな中で知り合ったBさんは、共通の趣味があり、私がその趣味に関連して作ったものの画像をお見せすると面白がって興味を持ってくださって、また同ジャンルの私の未履修分野についても語ってくださる方だった(それも敬体で)

この時期に私とBさんとが共通して観たい映画が公開されていたため一緒に観に行くこととなった

当初は私の家からそこまで遠くない市にある映画館まで観に行く予定だったが、当日になってBさんのお仕事のご都合が急遽変わったためその職場の近くの映画館へその日の最終上映回を観に行くこととなった

しかしどうやら私が集合場所の思い違いをしてしまっていたらしくなかなか会えない
メッセージでは埒が明かないためLINEで繋がることにして通話をしながらようやく集合できたときにはもう上映開始時間をかなり過ぎてしまっていた
マクドナルドの看板の前で実際にお目にかかったBさんは開口一番常体だった
まあそうかと、納得と諦めとが半ばした

映画は、ほかの近隣の映画館のスケジュールまで調べたが観られるところはなく、今日は記念にフライヤーだけいただいて鑑賞はまた後日のはこびとなった

映画館を出て、このあたりに土地勘のあるBさんの案内でしばらく散策した
Bさんがジム通いをしてバーベルで鍛えているという話の流れから、私がバーベルはオリンピックの重量挙げで見たことがあるくらいで実物は触ったこともない旨を口にしたところ、Bさんに「それ違うってwww別物wwwバーベルはベンチプレスの器具で使うやつだしwww重量挙げのはダンベルwww」と教えられた
声のトーンが軽薄にきこえて、私の勘違いかもしれないがやや軽侮されているようにも感じられもやもやした
軽侮という解釈がなされるのは私のプライドの無意味な高さゆえでBさんは「それ違うって笑」と朗らかにツッコミを入れたかっただけなのかもしれないのだがなんにせよ初対面にしては終始口調が軽い点にはお会いしてみて違和感を抱いた
またご職業(珍しいため詳述できない)のこともお話しになっていたのだが、職業倫理に反していそうなことを功績として語っており反応に困った
Bさんからは「もっと話してて楽しい感じの女子かと思ってたけどあんま喋んないねw」と率直なご感想を述べられた
おどおどしているとも言われた(それは返す言葉もない)

気まずい雰囲気ではあったが、別れ際にはお見送りいただき、そのとき「今日は急にこっち来てもらっちゃって。これ仕舞って。3000円」と交通費らしきものを渡された

流行っているのでしょうか、手切れ交通費

常識的に考えれば固辞すべきだろう
(もし集合場所の変遷が逆だったとしても私はお渡ししない)
ただ、予定外に痛む懐にはありがたかったことやAさんとの件で金銭受領への心のハードルが下がっていたことから深く考えずに受け取ってしまった

こうした軽率な行動が脛のきずとなるのだとその場で理解できるだけの能力は私にはない
(恥を忍んで付け加えると、もし映画を鑑賞していたならチケットはBさんがご用意くださる手筈だった)
行動のひとつひとつを社会通念上や倫理上だけの問題にとどまらず自身の将来の問題として熟慮しようなどと思いながら生きていない

帰宅してから、何か一言メッセージをお送りすべきかとも考えたが、ブロックされていてもおかしくないしよしんば現時点でブロックされていなかったとしても積極的に連絡を取りたくはないだろうと考え直して放置した

その後数日はこの日のことをとりたてて反省するでもなく忘れて過ごしていたのだが、週末の遅い時間になって急にBさんからの通話がきた
不審には思ったものの失せ物だとか緊急の用件なら切るわけにもいかないと思って出てみると、なにやら私への不満を話したい様子らしかった
どう返してよいのか分かりかね、なにせ私は話してて楽しい感じではないあんま喋んない人間なので、Bさんの語るに任せて相槌を打っていた
Bさんは酔っているのかもしれなかった
語りが途切れそうになるとまた同じ言葉を繰り返されるので切るタイミングを逸し続け、1時間を超す通話時間となったところで切れそうなタイミングを見つけ、切断即ブロックした

自己利益の最大化を目指すストラテジーの者同士によるコミュニケーションは、後手に回ればおしまいだ

タイミングなど構わず即ブロックすればよかったと後悔したが、そう簡単にはできない
内容はなにも私の「改善」とやらを促すフィードバックでもなかったのだから聞くに値するものではなく、いつ切ろうと私にとっては何の問題もなかった
酔ってくだをまくことが他者に益をもたらすことなどまずなく、当人ですら記憶に残らないぶん満足な益を得られるとは言い難いかもしれない

「やっぱブス連れて歩くと知り合いに見つかりたくないし恥ずかしいんだよねぇぇそんなんなのに愛してもらえるとでも思って会ったのかぁあ?」とやや呂律の回らない舌で語られた
明らかに聞く必要のない言葉だった
必要のない言葉で必要のない侮辱をうけた
緊急の用件などないと判明した段階で無言で通話を切れる胆力こそが私には必要だ

「ブスなのに歯の矯正とかもしてないっていうのはぁやっぱり本人の怠慢だよねぇー普通みんな努力してるものだよぉぉ僕優しくて元カノとか知り合いのそういうのいつも気づくんだけどさぁ〇〇(私を突然の呼び捨て)はなんか服とかも女子として微妙だよねぇセンスがないっていうかっっファッションの勉強とかしてないだろぉ?なんか浮いてるよねっっ」


順不同だがこういったことを流れるように言われた
歯列矯正はご家庭のご事情や身体的事情でしなかったりできなかったりする人もいる類のものだからいくら顔の造作そのものではなくあくまで努力不足を責めているふうなポーズを取ろうとも意味をなさないだとか勉強による改善を促しているふうでも実際は単に自分の「理想の女子」像とは異なったとお気持ち表明しているにすぎないとかマッチョに毒された権力志向とこれまでの人生でなんら栄冠を手にできなかった無力感とのギャップを埋めるために(Bさんの過ごす範囲の)世間に馴染まれている審美基準において高く評価されておりそれを自分が『所有』することで自分を引き立たせてくれるアクセサリー(あるいは所有による自己言及的な既成事実化によって、トロフィー)となってくれる他者を欲しているだけだろうという人格攻撃とか頭に浮かぶ言葉が喉まで辿りつくことはなく、ひたすら肯定しつづけた

対面中には一度も容姿に関する話題が出ることはなかったのだが、Bさんは私の容姿から受ける印象のことを内心では問題としつつも倫理観から触れないように抑えていただけで、でもそれは理性が切れた時間になれば吐き出しておかずにいられないほど強烈だったのか
Aさんには理性があって助かった

連れているのが恥ずかしい、とは親からも言われたことがある
恥ずかしい人間であることは複数人によって確認されたやや客観性のある事実としても常識的な世間では「ブス」はおそらくその主たる理由ではない(と少なくとも表向きにはされている)ため私にとって有益な情報ではないのではなかろうか

このような相手から施された足代が私の脛にきずを持たせる
あまりに恥ずかしいことだ

その3 Cさん

それから少し経った日、ある植物園の名物の植物が見頃を迎えていると耳にした
これまでのことに懲りるどころかさらに焦りを深めていた私はマチアプでどなたかと見に行かねばと決意した

いま行ってみたい場所は植物園であるとメッセージ交換中の2名に伝えてみる
お一人はしばらく会話をしてきていた方で、ご趣味であるジオラマのお話を伺っていた
もう一名は直前に知り合った方で、ユーザーネームにお可愛らしい顔文字がつけられていた

まずジオラマがご趣味の方から、その周辺のお店などを巡ってから植物園へ行くコースをご提案くださる返信が届いた
しかし、植物園自体は入場無料なのだがそのコースを周るとなるとかなりの予算が見込まれるようだった
その方の自己紹介欄には会うなら割り勘との記載があり、相手側(私に限らず)の事情を考慮せずに提出する案としてはかなり無理があるように感じられた
金銭感覚の擦り合わせまたはそれが合うかによるふるい分けのためにあえて初手でこれを出す戦略もありえそうだと考えられ、すでに私はあまり無理できないこともお伝えしていたから、乗り気なようでいて婉曲的に断りを入れられているのかもしれないとも思った
そしてもう一方の顔文字の方(以後Cさん)は、植物園単体で訪れるだけでも問題なさそうだった

この頃になるともう、とにかく早く結果を出さなければいけないと強迫観念に囚われていた
一人目の方には「計画を練ってくださったのにすみませんがこの件はなかったことにしてください」とさくっと簡潔に返信してCさんと行くことにした
互いに気が合いそうだと見当をつけて会うべきところを、条件が大丈夫そうだから会ってしまおうというだけで、自己都合のみの比較検討をしてしまった
二名ともに対して礼を失する雑なやりとりだったのだろう
いまとなってはそのような理解を持っているが、そのときは焦っておりまともではなかった

Cさんは秋から春は建設業だがライフセーバーの資格もあり、夏はバイトのない日も含めて毎日のように海にいるとの自己紹介だった
このあたりから私はもうアプリで顔をお見せしないようにしていたのだが、Cさんからは見せるよう要求されることもなく、ひととおりの自己紹介以上のやりとりはせずに対面まで辿りつけた
その分実際にお会いしてみて何を言われるかと不安もあった

駅前で落ち合って軽い挨拶をすると、Cさんは急にしゃがんだ
そして何かを拾い上げると、私に手渡してきた
鼻セレブのポケットティッシュ(どうやら未開封のようだ)だった
落とし物ではあっても交番に届けたところで持ち主が探しにくるほどのものではないように思われて「えっと、え、交番……?」と戸惑っていると、
「いいじゃん、もらっちゃいなよ。あげるよ」

マチアプを使っていると時が止まりそうになりがちだが実際に止まってはくれないので何か応答はしなければならない
結構ですと言うわけにもいかず何を言えばよいのか困ってしまいひとまず「ありがとうございます」とだけ返答してバッグに入れた

それにしても一瞬で鋭く鼻セレブを見つけられるのだからすごい視力だ
きっと全身マリンブルーの水着で溺れた方もご安心のことだろう
(ここでその視力を発揮する必要があるとは思えなかったが、おかげで私は路上清掃活動に貢献させてもらったと思うことにするしかない)

歩き始めた私はもしこの人も容姿批判をするタイプの人間だったらいよいよ耐えられない気がしはじめて、なんとここで自ら「不細工と歩くのは恥ずかしくありませんか」と切り出す暴挙に出る
するとご親切なCさんは、「〇〇さんは人柄の良さがにじみ出てる顔だから!」

私はCさんのお人柄について鼻セレブ以外のことは存じ上げないしおそらくCさんも同様に私の人柄について何もご存じないであろうに、ずいぶんと調子のいい方だなと思った
そして今日この先私から自己開示をすることもないと思った

(ただ実際Cさんと同様のお立場に置かれれば同様の返答をなさる方が多そうで、かなり常識的・模範的といえそうだ

そのお立場にしてしまったことは申し訳なく思うべきだろう

仮にBさんが今後どなたかに同じ文言を問われたならいかがお答えになるのだろうか、その方がBさんの審美基準で不細工かどうかは別にして)


そして、赤信号で、立ち止まったとき、鼻セレブさんは、いきなり、無言で、私の手を握ってきた
いいんですか?手がふさがっていると鼻セレブも拾えませんよ?
しかし私の希望でここまでお運びいただいている負い目があり、ほどくわけにもいかなかった
狭量さは私の数知れない欠点にあってとりわけ目立つもののひとつなのかもしれないが、人命救助の志があり容姿への自虐に対してもフォローしてくださるようなお方のことでも鼻セレブ一件ですでに苦手としていた
事前におききいただければお断りできただろうか、それともそれすら無理だったのだろうか、とぐるぐる悩んだ末、もし今後またどこかで不本意な手つなぎが発生しそうになった際にはいかなる状況であろうと必ずお断りしようと心に決めた
実行できる自信が必ずしもあったわけではないもののこうしている瞬間にも伝わってくる手の感触が不愉快で、あまりに自分が情けなくて手首を切りとばしたくてたまらず、でも大切な私に含有される大切な手なのだからと考え直し、せめてまた同じ事があれば必ずお断りしなければならないとあらためて心を決めた
心の準備は大切だ

その後ルート確認などをする間に自然と手が離れたのだが、植物園内に入ると再び手が近づいてきた
つかまれかけたが私は完全につかまりきる前によけた
駅前までの帰り道でも同じことが繰り返された


帰宅して「本日はありがとうございました。Cさんに新しいご良縁が訪れますよう」とお送りしてから今後を考え先んじてブロックし

手つなぎも実績解除されていた
もう少し感慨の湧くものであってほしかったなどとは情けなくて言えない
この空虚なステータスをみるだけでも十分にマッチングアプリなんて始めなければよかった理由になったのかもしれないと思うとやはり向こう見ずに始めてしまったとしか言いようがないが、このときは「今回の試行もうまくいかなかったからうまくいくまで再試行しなければならない」とさらに向こう見ずな気分になってしまっていた
ジオラマの方とCさんに無礼を働いたし私自身も不愉快な経験をしたのにこれでもなお学習しないのは愚かの一言では足りない


この日の感触が思い出されるといまでも手首を切り落としたくなってしまう

あるいは、アプリを利用しはじめてからメッセージに揉まれるなかで自分の顔はすでに切り落としていたのかもしれない
切り落とさなければならない部位が増えていっていずれ私の身体のすべてが私のものではなくなってしまったとききっと私は身を投げること以外に自分を救う術をみつけられなくなってしまうのだろう
などとこの時点ですぐに気付けるだけの能力は私にはなかった
愚者だから経験するまで学ばない

その4 D

Dは私に不同意わいせつを行ったため私は警察へ行きました

Dについてこれ以上書くことはない
この日のことは思い出そうとすると部分的にもやがかかっているところもあるが、「やめてください」「やめてください」という自分の声は頭の中に響き続けている
(忸怩たる思いで白状すると、きわめて情けないことに、その声は泣き声である)
こうして私はマッチングアプリをやめた

これ以前にやめる機会はいくらでもあったはずだった
それなのに魔物に遭遇するまでこの魔境から退くことができなかっ
悔やんでも悔やみきれない

狂っている

前章までで散発的に述べたことだが、アプリ利用中の私はどこかおかしくなっていっていた

会話相手に悪印象を与えて嫌われることが怖くて、気の合いそうな人を見つける目的がありながら本末転倒なのに相手に話を合わせるようになった
「グランピングとか興味ない?」→「そうですね、すごそうですね!」(すみません、ありません)
「O型っぽいってよく言われない?自分もOなんだけど似てるかも」→「そうですね、よく言われる気がします!」(すみません、ありません)
「長女?」→「そうですね、長女です!)
「末っ子?」→(そうですね、末っ子です!」

相手の提示するストーリーラインに乗ることが相手を刺激しない最良の方法だと思ってしまっていた(振り返るとこれは幼い頃からの傾向の影響も強かったかもしれないが)
メッセージ空間にいる私は哀れなほど愚かしかった
この状態で何をしたところでうまくいくはずがなかった

現実でも影を落とした
姿見を見られなくなり処分した
シャワーは後ろ向きで浴びた
夜の窓すら怖かった

そして、外見へのコンプレックスの発生と同時に肥大していったのが承認欲求である

はじめは私のことが伝わって会話のきっかけになればと自分のアカウントのページに載せるコンテンツを充実させていたが、マッチングAIを介して探す会話相手にそれに目を通してもらえることは多くなく、それよりもAIが私向けに表示しようとはしないご年代の方々からコンテンツに対してコメントをいただくことが増えてきていた
アルゴリズムなどの難しい話は分かりかねるのだが、どうやらたくさん書き込むとその分いろいろな方から見られるらしい
オフラインでお目にかかりたいとはあまり思わない同年代〜40才くらいの方々ともそれをきっかけにお話しする機会があった
(このリーチのほうが利用者の年代別構成比をそのまま反映しているのか?体感的には50代以降が少なすぎる気もしたし細かくは不明)
例えばあるときは、麻雀が日課だという同年代の方と会話するようになり、私はMリーグだけ知っているいわゆる見る雀でルールと役が分かるのみだったところを麻雀アプリでの同卓でご指導いただくなどした
またあるときは、常闇トワさん(VTuber)の配信を聞き取りたいバンコクご出身の方のお手伝いをしたこともあった
ほかにも、投稿サイトに載せる創作物を読ませてもらうなどした
このようにはじめは穏やかに利用していたのだが、AIにおすすめされる人々からの度重なる容姿批判とはまったく異なるあたたかなお言葉をいただける環境に味を占めるうち、徐々にもっとここで評価されたくなった
そして次第に内容を粉飾しはじめた
私は家庭環境が良くないのだが、その悪さがマッチングアプリで好まれそうではないため、マッチングアプリ受けのしそうな生い立ちや生活に変えるなどして書くようになった

さて、マスメディアなどではSNSを中心としたネット利用と承認欲求とをイコールで結びつけて規制を煽る言説が折にふれて語られ、それらはしばしば短絡的に感じられる
内容は玉石混交というか私には賛同できかねることが多いのだが、とはいえインターネット上の一部の空間は承認欲求を不用意に肥大化させるいくつかの環境因子と隣り合わせであるのかもしれないし、肥大化した欲求を暴走させるハードルが低まる場へのアクセスがオンライン経由でできる場合もあると言われればそうかもしれない
規制を煽るのは過剰に思えるがそれはそれとして、私は己の精神の浅はかさがオンラインのどういった環境下でどう挙動するのかには注意して行動しなければいけなかったと思う
人間は静かに狂いうる
上記の言説を耳にする機会は幾度もあったのに、けたたましく暴走した承認欲求の具体例として示されている極端な行動はどれも私のような大半の一般人には縁遠いとしか思えず、それ以上の抽象的な理解を持とうとしなかったために、聞き流すだけで自身の教訓とできていなかった

 

(また大概の嘘は窮余の一策である

粉飾を行いたくなったならその時点で退却するべきと見るのが道徳的だけでなく戦略的にも正しい)


その頃知り合ったDは50代ではあったがユーザーネームに用いていた言葉が私のページのコンテンツでの話題に関連する名詞であり、どうやらコンテンツを読んでメッセージを送ってきたようだった
つまり、マチアプ向けに粉飾された私の生い立ちに興味を持ったことから私に目をつけたのであれば、騙されていたことになる
率直な心情を述べてしまえば魔物を騙したところで人間に対して抱くような罪悪感を今となってはあまり抱けなくなっているのだが、アプリの利用をやめたことで結果的にD以外を騙さずに済んだ幸運には感謝すべきかもしれない
条件を互いに指定し目的を一にした相手と実際に会えることがマッチングアプリのメリットなのに、実際にはいない架空のキャラクーを騙ってしまえばその根幹を揺るがしてしまう
もし仮にアプリ内だけに存在する架空の「私」に本気で恋をするような人が現れてしまっていたら、会おうとして「私」が存在しないと知らされたときに私によって傷つけられてしまっただろう
魔物を除いた人間の被害者を出さずに済んだのは偶然でしかなく、私は厳粛に自戒する必要がある
考えうる限り一番に近い種類のむごたらしい目に遭うまでそれに気付かなかった私はもう人間になれなくても当然といえるほど愚かだ

まとめ マチアプ世代差界隈は魔境

マチアプ世代差界隈とは
成人年齢に達するまで経験のなかったことについて周囲にアドバイスを仰げるでもなく至極限定的な知識のみから独自解釈に基づいていきなりマチアプに踏み出すような人格に難のある若年層の人間と、
後半生に達するまで己の欲に向き合えずそれを適切に満たせる場所を見つけられなかった、または他者への攻撃を伴わない形で満たすことができずに居場所を失いマチアプまで流れ着いてきた、セルフコントロールに難があり若年層と同程度に未熟な人間(たまに*11魔物)

によって形作られた、決して足を踏み入れてはならない場所である
私は自分のアカウント視点の風景しか集計できないのでやや飛躍のある結論を導いてしまったかもしれないが、仄聞するに性別問わずこの傾向はありそうに思う

マッチングアプリで私とマッチした人間は「ハズレをひいた」と感じるようで、それは事実そうなのだろうが、一方でハズレをひかされたその自分自身も社会の外れまで追いやられているご自覚はお持ちの状態でご利用になったほうがよいだろう

人間は移し鏡、などというありふれた結論を抽出したところで掲題については擱筆する

以下の蛇足の章ではDの事件の顛末を述べる
決しておもしろい話ではない

蛇足

どうやら私は無価値らしかった

性被害者なんてただの一人も生まれない世界が望ましいことには間違いがないが、そのためには性加害者をただの一人も生まない必要がある
しかしはたして本当にそのようなことが可能だろうか

加害者を減らすための取り組みとしてまず挙げられるのは、被害の実態を社会に訴えかけて意識の変化を促したり、被害の大きさに見合う刑罰を設けてそれを周知したり、そしてなにより学校教育に注力するだけでなく旧来の学校教育では現代の人権の観念に照らして不十分であったと思われる場合には大人の人々も対象として社会全体の中で性教育を徹底したりといった、知識を行き渡らせるアクションである

しかしそれでゼロになるわけではない
知っていたはずのことを自身の教訓とできなかった経験は私にもいくらでもあり、苦手な科目を先生に懇切丁寧に教えられても一人になって類似問題に手をつけた瞬間に全く解けなくなるなどいつものことだった
教えられたことへの理解力が高いか少なくとも平均以上の人々には分からない気もちかもしれないが、知識を与えられたところでどうしても理解できないことだってあるのだ
知識に従った行動をとれない人間は一定の割合で存在している(というか常に知識で行動を御しつづけられる人類なんてそうそういないのかもしれない)

また、人間に近いオランウータンなどの群れの中でも人間の概念でいうところのレイプに相当するものは発生するのだから、人間の中にだって確率的にレイピスト個体が出生しないことはあまりなさそうに思える

性教育が人口にあまねく行き渡ったところで
世界人口×レイピスト個体の出生確率×知識を有していたところで活用できない個体である確率
の値はそれなりにありそうに思える*12

文化的、社会的背景によって引き起こされるレイブはいずれほぼなくなるかもしれないが自然発生的なレイプはなくせない
0を目指すのに教育だけでは不足である
すると求められていくことになるのは、より実行力のあるアクションである

例えばマダガスカルでは、男性器を用いた児童性的虐待*13に科す刑罰として外科的去勢処置が認められている
これは一義的には(性器への挿入を成立要件とするケースで確実な)再犯防止策となるほかにも不可逆的で強い手段を用いる様を国民に知らしめることで未成年者への性暴行は二重に人道から外れたこの世で犯しうる罪の中でも最悪で再犯が許されない犯罪の筆頭格であることを印象づける抑止力の効果も期待されて賛成の声もあるが、一部の人権団体などによる反対の声も大きい*14
相対的に穏当な刑罰とされる化学的去勢はマダガスカルの刑法にも含まれているほかインドネシア、韓国、アメリカの一部の州など複数の国で認められているが、これも身体的・精神的な健康問題が指摘されている
*15

それから性犯罪に限らない話をすれば、死刑は確実に再犯を不可能にできるとはいえども手放しで死刑に賛成できない者も多いだろう*16(し私もその一人だ)



ここで考慮すべきことは、去勢や死刑はあくまでも既に犯された犯罪への刑罰でしかない点である
別言すれば、性加害や傷害や殺人といったあらゆる暴力の被害者が0の世界を目指す者にとって、どこかの裁判所で死刑判決が言い渡されている時点でその目標の達成はほど遠いことが明らかなのであ

すると求められるのはディストピアである
犯罪を犯しそうな「予備軍」であるあいだに取り締まって侵襲的な処置や24時間のモニタリングを行いたくなる
そんなあやふやなものに厳密な判断基準を設けることは難しく、誰もが誰かの一存で「予備軍」扱いされることに恐怖しながら過ごす

現時点でも、性犯罪者への認知行動療法のような再犯防止プログラムを目的、手段ともに曲解して、非実在青少年を扱ったりレイプなどを描いたりした創作物を所持している人間の内心に対して実力で「治療」こと介入を行うべきと主張する声が一部の界隈のネットユーザーからあがることもある

DBSやミーガン法は性犯罪者予備軍も適用対象とされるだろう

それでも取りこぼしてしまう危険への対策として、またここで論じている性犯罪以外の暴力とも共通した対策として、人が入れる全ての空間から監視カメラの死角を排することが義務づけられるかもしれない

個人間の暴力を防ぐために国家の暴力を容認することは程度問題でもあり、歴史的に議論が続いている
完璧な最善を目指す痛みに人類は耐えられないと誰もが言うまでもなく知っているからこそ総和の最適を目指す議論は絶えないのだ

途方もなく遠い将来だとしても現代の我々には想像もつかないほど画期的な問題解決システムや技術があらわれてくれるのを祈ることしかできないのか

また、そもそも我々は、世界全体に共有されている「人権」というフィクションの概念に同意したうえでこの世界に生まれ落ちるのではないことにも注意が必要だ
人間によく似ているがそのようなフィクションをもたないチンパンジーの群れにおいて殺チンパン事件は起こるのだし、人間でも出生時点では誰も人権教への入信に同意してはいないのだから、殺チン犯*17が出生するのと同様に殺人犯がこの世に生を受けることに不思議はないかもしれない

自分の生存権を守ってもらわなくていい、誰かを殺害したい
自分の財産権を守ってもらわなくていい、誰かから強奪したい
自分の性的自己決定権を守ってもらわなくていい、誰かをレイプしたい

こういった個体は自然に生まれうるのである
*18

あらゆる暴力事件はなくならない
どれだけ教育を尽くそうとも0にはならない

そんな世界でも人類皆の益の総和を最大化しようと努力する神がもしいるなら、きっと性犯罪に釣り合いのとれた相手として私があてがわれることを相応しいと感じるはずだ

私のように無価値な物が被害に遭ったところで困る主体となる人間が存在しない
もし、自己を尊重し、また他者からも尊重されたり愛されたりしているようなどなたかが被害に遭ってしまえば、本人が苦しむことはもちろんその被害者を愛する周囲の人々も深く心を抉られ、影響は甚大だろう
(世界全体ではなくミクロなこの件についてだけをみた考えになるが、)Dはこの日に私と会わなければこの日か近く別の日にどなた*19に対する犯罪を行っていたはずだ


今日もどこかで性犯罪が行われ、たくさんの人々が苦しめられてい
そうなるかもしれなかった一名の被害者とその周囲の方々を私という廃棄物で代替することができたなら人類にとって幸運ではないか

物心ついて以降親からの無償の愛のようなものを受け取ったこともない私は、この日に被害に遭うことで愛の巡りのなかに生きる人間のどなたかに矛先を向かせないことをこそ果たされるべき目的として神に産出されたのかもしれない

それなら、目的が果たされた私は無事に使い終えられた
もう死んでよい

私は「全ての人間は、人間でさえあるなら、人間にとって大切で尊重されるべき存在だ」というフィクションを信じている
性犯罪につりあう程度に無価値な存在であるなら、人間ではない

そう考えると得心の行く疑問がある
「なぜ親は産まれてきた私を人間扱いしなかったのか?」
人間ではないからである
「なぜ私は通常人間社会でそうそう使用されない容姿批判の言葉をくりかえし浴びせかけられたのか?」
人間ではないからである
「なぜ私はおよそ他者からみて美質と呼びうるものをひとつも備えていないばかりか自分自身のことすら大切にできないほど愚かなのか?」
人間ではないからである

人間社会で功利主義を採用するなら、誰かを切り捨てての総和の最大化をしない最低保障は必要とされるだろう
しかし私は人間ではないから保障される必要がない

もしどなたかがこのような結論に達しているところを私が目にしたなら「それはきっとどこかが間違っている」と伝えると思う
具体的な指摘は頭の悪い私には荷が勝ちすぎるが、どこか認知が歪んでいる印象を受ける

反論として思いつくのはひとつには
「『人間』の厳密な定義なく誰かの一存で『人間ではない』宣告ができてしまうことこそが恐怖政治だ
妊娠されて12週以後*20かつ死亡以前*21のヒト(ヒト科ヒト族ヒト属ヒト)に当てはまりそうならすべて侵され得ない人権を有するのでなければ民主的な社会が成り立たない」

でも私は受精時より人間として産出されなかったからこれはあてはまらない
たまごもにわとりももう分からない

覚悟がなければ生き残れない

さて、手を繋がれる前によけるスキルを取得している私に対して「その応用で逃げられなかったのか?」と疑問をもつ、教育の与えられていないまたは与えられても身につけることのできない生硬で暗愚で無知蒙昧な方もいらっしゃるかもしれない
(教育とは国家による支配的暴力の一形態である、とのお考えを有していらっしゃる人間の個体の方には賛同できるところが必ずしもないとはいえないが)
おそらくそのような方は、実社会においてひどく肩身の狭い思いをなさっていることだろう
あなたの蒙昧さはあなたの責任ではないのに


性加害者というとかつての時代、鼻の下を伸ばして眉尻を下げ近寄ってくるような、ひ弱なイメージを一部で持たれていたのかもしれない
それならば被害に遭う前にその場から逃げ去ることは難しくなさそうである

しかし、その捉え方をしたときに見落とされている至極単純な一点がある
性的自己決定権の侵害行為のことをなぜ「性加害」と呼ぶのか?
権利の侵害行為は加害行為だからである
性加害者とは、自分の欲望を満たすために加害行動をとることができてしまう存在を指すのである*22

あなたが何らかの目的を持つ相手から武器を向けられたとき、咄嗟に逃げられると言い切ることができるだろうか

明確な害意というナイフを持つ人間に丸腰で立ち向かうのはあまりにも過酷だ
だから逃げるだけでも困難をきわめる
さらに、ナイフを持っている相手の前で正当防衛だからといって自分もナイフを握ることはよほどの覚悟がなければできないし、そんな覚悟をその場でいきなりできる人間はなかなかいない
だから、性加害から逃げられた例や身を守れた例は、隙をつくなど偶然が重なった結果であり、逃げられなかった被害者と対比して利用するのは適切でない
(その重ねられた偶然を活かすことができたのはご本人の勇気によるものであり、敬意を抱きます)


私は逃げられなかった

最も差し迫った描写のある段落で、必要であれば次まで飛ばしていただくために表記上別章扱いとしま

被害に遭っている最中には身体を硬直させることしかできなかったが、その後、これ以上思い通りにさせられない状況で私は犯人の腕を掴んだ
もっと瞬発的に動けて偶然の糸を引き寄せられればこれほど苦しまなかった
しかし、そのために必要な、瞬発的にナイフを握る勇気がなかった

ここまで

後日私は催涙スプレーなどの防犯グッズをバッグに入れるようになった

しかし瞬発的に握ることができるだろうか?
スプレーボトルを握りながら何度も考えた
できないかもしれない
できるイメージが湧かない

あらかじめ自分で死んでおく以外に自分が先制できる方法があるのだろうか

警察へは行ったほうがいい

事件後しばらくは茫然自失としていた
警察へ届け出る準備をしようという気もちもあったものの、どうせ無駄だ、思い出して苦しくなるだけだ、苦しみに耐えたところで不同意わいせつの量刑なんて大したものではない、そんなことより悪魔と取り引きして犯人を始末してもらいたい、それで事件前に戻れるわけではなかったとしても、などと逡巡して動けずにいた

私の身体を切り刻まなければいけないと思った
手首だけならパージできるかもしれないけれども今回はそれができないのだから
血と肉をすべて切って捨てなければ私の所有権が私に返ってこないと思った
私は人間ではないのかな、権利能力の主体となる人間ではないなら関係ないかな、とはこのときに考えはじめた
事件前の身体に戻りたい
今でも毎日そう感じる


相談できる人間も周囲にいなかった
孤立状態になかったならマッチングアプリなんて始めていなかったのだから当然だ

それから警察署まで行くことができずにいたとき、相互さんに「普通に警察は行くべき」と言われた

(それはそう)
(ありがとう)

具体的にどういった事件であるかまでは伝えていなかったが「事件ならば警察」という普遍的な原則に気付かせてくれた

自宅近くの警察署へ行って話を聞いていただいたのだが、実際に事情聴取を受けて被害届の提出などの手続きを行うのは事件現場の区域を管轄する別の警察署でしかできないとのことで、ここでは梗概をまとめるだけで切り上げた
(ここでいざ口を開いてみることで、誰かに聞いてもらわずにはいられなかった自分の本心に気づかされ、『被害届提出の負担に自分が耐えきれるか怪しく、提出の意思が完全に固まっているわけではないものの、誰にも話さずにいることは耐えられなかった』との趣旨のことを刑事さんに伝えた
すると『話したいだけなら話を聞いてくれる被害者支援の団体もある』と言われ(それを紹介されることがここへ来た目的の主眼なわけではない)という所感を抱いたことからやはり提出する方向で動き始めた*23
防犯カメラの映像を見つけるには保存期限が切れる前に探さなければならないとのことで、近日中に所轄の警察署へ行くこととなった


そしてその所轄の署で聴取を受けたり現場を調べる立ち会いをしたりした

被害後の感情は刻一刻と変化し、些細なきっかけで理不尽に揺れ動いた
警察車両に乗って事件現場を目指し、否応なく生々しい感触を振り返る
高まってきたのは自罰感情だった
帰ろうとしたときに振り切れた
刑事さんに、私がアプリ上でちやほやされたくて、〜〜や〜〜という設定のキャラを作っていたこと、事件の日に本来の予定であれば会うはずだった喫茶店では奢ってもらうつもりだったこと、金銭受領に関して後ろめたさがあることなどの罪悪感を伝えた
(犯人は泣いている私を見て一万円を渡してきており、受け取らないことで逆上させる危険も感じて一旦話を合わせようかとも思ったもののやはりグロテスクすぎるので返したが、すると犯人がバッグに押しこんできた
返す押しこむの応酬の末、私が犯人から解放された時点で私の手に置かれてしまっていた
犯行の証拠となる記録を警察が見つけてくれたときにはあわせて私が返す様子も残されているのだからとこのくだりを話している最中には恥とは思わなかったのだが、犯人は私が『マッチングアプリ通じて金銭受領したことがありそうな馬鹿な奴』だと思ったからこそ『簡単に口封じのできる馬鹿な奴』として私を犯行の対象に選んだのかもしれないという解釈もできる気がして、その解釈は感情を不安定にさせる一要素となっていた*24


すると刑事さんに「だから被害届を出すべきでないってこと?」と確認された
うまく言葉を見つけられずに意味があるのかないのか分からない言葉をまくし立てていると刑事さんから、あらためてこの事件は不同意わいせつの定義に該当する犯罪であることと、加えてそれなのに私の罪悪感を正しいとしてしまうと犯罪を許すことになってしまうことを説明された

その場ですぐに感情が落ち着いたわけではなかったが、ほかにも「あなたが一日でも早く日常の生活に戻れるように警察が捜査する」との言葉をかけていただいたこともあり被害届提出の意思を固めて帰途についた

自罰感情が生じるメカニズムに関して私は知見をまだ十分に得ていないのだが、生じる内容自体はつまるところ犯人の責任を自身に転嫁するだけのものだと思う
(できるならメカニズムを学んでおいたり内容の実例を知っておいたりすることは回復に役立つだろうと思う)



それからまたしばらく経ち、被害届提出の手続きをすることとなっ
文章は刑事さんが私に事実関係を確認しながら代筆してくださるもので(したがってみるからに性格に難のありそうな文体の被害届が爆誕するなどはしていない)、ところどころ書き手によって言葉が補われている

その結びでは、犯人が犯行後に見せた態度からは自身の悪質性を認識しながらも軽視していることが明白であり反省を促すためにも処罰を求める旨が記されていた

この「反省を促すためにも処罰を求める」の部分は補筆箇所である
これには目を開かれる思いだった
前述のとおり私は被害に遭ったあと「神の意図するところによればもう私は使い終えられた」と思っていた
しかし、まだすることが残されていたのだ
あんな目にあってなおまだ解放されたわけではないことへの絶望感とも隣り合わせではあるものの、できることはするしかない
(後に調べたところによると被害者の処罰感情も判決に影響するらしく、おそらくそのために刑事さんは被害届の代筆にあたってこの結びの形式を採用するものなのだと推察される)

この「ある態度」の部分は実際の文中では犯人の具体的な言葉が記されている
その言葉を私が刑事さんにお伝えした時点ではもちろん被害届の結びに用いられることなど知る由もなく、ただ犯人のあまりにふざけた態度に納得が行かない感情をそのままお話ししただけだった
それは最初に訪れた近隣の警察署でのことで、所轄の警察署のほうではこの言葉について被害届を出す段に至るまで詳しく掘り下げられるようなことはなかったと記憶しているのだが、刑事さんの視点ではこの点が重要視されていたことを意外に思った
(ほかにも私の尊厳を傷つけた犯人の言動をいくつか自分の感情のままに伝えたのだが、『なんでそんなこと言うんだろうね……』と刑事さんのどん引き含みの同情を惹起するなどしつつも違法性のないただの蛮行の多くは被害届の文面には採用されていなかったため、なおのこと意外に感じられた
採用されなかった蛮行とは、一つは例えば

必要があれば飛ばしてください

被害に遭って泣いている私の肩を犯人がさすってきたことだ
自分がしでかした行為こそが問題の核だと理解せずに相手が涙を流しているという眼前の現象のみを厄介な問題だと認識しているだなんて頭のねじが外れている
なだめたりすかしたりしてその涙の流れを引かせることさえできればあらゆる問題はなかったことにできるという見立ては何もかもを軽んじている
時間経過によって涙腺の活動が低下したなら犯人は自分が優しく扱ってあげたおかげだとでも思うのだろうか
どうしてこの状況にあって自身が慰めを与える立場だと認識できるのだろうか
それとも単に女肉をもっと触っていたかっただけなのか
パンツの中に入れてきて洗っていない手で肩を触られるのも不快だ

それなのに、抵抗するのは怖くて犯人の言うことに逆らえずにたださすられることしかできない自分が惨めだった

この行為について警察署でお話ししたときに思っていることの全てを上手に伝えられたわけではなかったかもしれないが「なぜ慰める立場のつもりなのか」「触りたいだけなのか」「触った手で肩を触るのも」といった言葉はなんとか出せた

ここまで

しかし、それは犯罪被害を構成する要素にはならないとのことで文面に採用されていない
こういった複数の違法性のない蛮行は主に、違法性のある部分との経緯上の結びつきの強さによって採用されたりされなかったりするようだったが、その中にあって結びに採用された蛮行が経緯上の結びつきが強いとまでは言えないかわりに『反省を促すためにも』への強い導線となっている無責任な発言であったことからもやはり要点は『反省を促す』の部分こそだという理解を持った)


そして、処罰を求める旨の明文化には副次的な効果があった

この事件に関して私は無数の言葉にしづらい感情を抱えており、
悪魔に魂を売るから始末してほしいもし隕石が落ちるなら犯人とか素知らぬ顔で生きている性犯罪者たちとかのところにしてほしい犯人が自力で立ち向かえない異形としか思えない上級魔族に襲われて同じ恐怖を味わってほしいのうのうと生きているのが許せない
と、大まかに言えば復讐心に分類される怨嗟だけでもかなり混沌としていた
それらを「処罰感情」のもとに一元化することができて、(決して生涯なくなることのない)重荷の一部を整理することができた
また、「反省を促すため」と公益に適った理由付けを与えられた点も大きい
体系化された法に則っておらず悪魔や隕石に頼る怨嗟は、それが叶えられる望みはない一方「悪魔悪魔悪魔悪魔悪魔悪魔」と考え続けることで心を一部悪魔に明け渡してしまう負の結果だけをもたら
しかし、公的書類において公益に適う処罰感情が私の言葉として示されたことで、悪魔頼みの怨嗟を相対化できるようにもなった
それまでは悪魔が現れてくれればいいのにと願ってしまう自分に対して自分自身で疑念を抱き、自分の卑小さのことも呪ってしまっていた
しかし法に則った処罰を求めることで、悪魔を省いた「処罰感情」それ自体を肯定できるようになった


あの犯人に今まで性教育が与えられる機会があったのかなかったのかは知り得ないが処罰を与えられればさすがに罪を理解し反省するだろう*25


なお、被害届の文面に関することで全くの余談になるが
先に訪れた近隣の警察署であらましをお話ししおえて帰宅する際、署の外まで刑事さんがお見送りくださった

そのとき署の建物を出たところで刑事さんに「今まで性行為の経験は無かったんですか?」と聞かれ、特にその意図などは考えることなくお答えしてしまったのだが、口に出した瞬間から徐々に疑問が湧いてきた
性犯罪の聴取ってこんなふうにざっくばらんにされるものなのか?わざわざこんな質問をするということは被害者が非処女だった世界線ではそのせいで犯人の罪が軽くなってしまうのか?*26
センシティヴな話題を履歴の残る公式な取調室の中ではなく非公式な建物外で振るのはずさんな管理体制ではないのか?さすが神奈川県警
として増田でも書こうかと思いかけていた

しかし正式に作成された文面の中にも私に性的経験が無いと明記されていたことで、あのときの刑事さんは聞き忘れてしまった必要項目をあわてて外で追加質問しただけでセンシティヴな話題をざっくばらんにしようとしたわけではなかったのだろうと納得することにした

とはいえ、今回は性的な話に耐性のある私*27相手だったという属人的な偶然によって大丈夫だったもののあのような雑にも感じられかねない場での性的な質問をセカンドレイプだとお受けとりになる方もいらっしゃるかもしれずやはり管理体制を見直すべき神奈川県警ではあると思う
問われたときはただ目の前の会話を成し遂げることに必死でついすぐに「はい」とお答えしてしまったが、10秒だけでも深呼吸できていれば「質問意図をお教え願えませんか?」「取調室に戻ってでなければお答えしません」とお返しできて後続の方のセカンドレイプを防げたのかなと考えてやや後悔している

今からでもお伝えすべきだろうか、気まずいししんどいが


重ねて余談だが、私の人間性が直接的に最も深く毀損される契機となった事象を引き起こした犯人の行動は、被害届の文面に記載されてこそいるものの違法性のない蛮行に分類されるようだった
それにその蛮行がどのような形で私の人間性を喪失させたのかについて聴取中にうまくお伝えすることもできなかった
本当に違法性が完全に全くなくこれ単体で罪を問えるわけではないのか気になり類例がないか検索してみたところ共通点のある例を取り上げた数年前のニュースが見つかり、民事で話を進めているようだがやはり刑事事件では立件できないらしかった
法的に罪に問えない以上、私がこの行為を理由に犯人を恨んでいることが裁判官に知れたら、私の処罰感情は法的根拠のないただの怨嗟だと解釈されて心証を悪くするかもしれないと不安に苛まれた
だからこの最大の苦しみは絶対に表出させてはいけないと思った
そのためにできることは何でもした
本当に本当に多大な犠牲も払ったし、努力もしたし、ほかにも色々なことを諦めた
そのうえで「私はすでに打ち克っている。私はすでに打ち克っている。私はすでに打ち克っている。私はすでに打ち克っている。私はすでに打ち克っている。私はすでに打ち克っている。私はすでに打ち克っている。私はすでに打ち克っている。」
唱え続けた
私が公益に適う処罰感情を持たなければならないなら、被害の訴えは「やめてくださいとの再三の要求を無視してわいせつ行為をしつづけた、不同意わいせつ罪」の一点に絞らなければならないことになる
そのときに私が泣いていたことなどは考慮には入れられるかもしれないが、そのようなことは結局は感情的なものでしかない
泣いている私を犯人がどのように蹂躙したとしてもそれは罪に問えない
(返す返すもあのとき泣くことしかできなかった自分がみっともなくて情けなくて不甲斐なくてならない
泣けば犯人はつけ込んでくるのに
どうして私は自分のことを守れなかったのだろうかと思うと自分が恨めしい
弱い自分を恨んでも元には戻れない)

これ以上掘り返すのは無駄だ
だから私はこの傷を負った経験は墓場まで持っていくと決めた
私はすでに打ち克っている。私はすでに打ち克っている。私はすでに打ち克っている。私はすでに打ち克っている。

法に沿わせて「処罰感情」の枠組みで己の感情を再認識することで、悪魔頼みの怨嗟を整理することはできたはずだった
それでも心の傷まで同じ方法で整理することはできなかった

いつか私が自主的な死を選ぶ日が来るならその直接的なトリガーになるのは、この心の傷に実は打ち克ってなどいなかったと思い知らされることだと思う
リスク因子を抱えている自覚がある
でも絶対に口に出すことはできない
当然、相談もしない
何があろうと墓場まで持っていくと決めた
その分、もし誰かに話そうとすればそれをきっかけに一気に「私」を瓦解させてしまうおそれがある
絶対に口を開けない
私はすでに打ち克っている。私はすでに打ち克っている。
口を開く必要すらない
私はすでに打ち克っている。
打ち克っているのだから


被害届作成の過程では私が遭遇した事件は「法が犯された犯罪事件」として扱われ、つまりは私は「法で権利を保障された人間」として扱われた
そのことに感謝している
警察へ行く前、先ほどとは別の相互さんから「今一人で戦わなければいけなかったとしても将来出会って愛し合うようになる人はあなたが生きていてくれたことに感謝するはずだから一人で早まらないように」とおおよそこのような趣旨の言葉をかけられていた
*28
率直にいえばそのときは私には無関係な言葉としか感じられず、お心遣いだけ受けとって内容はいまいち飲みこむことができなかった
しかし警察の皆さんが、私を違法行為に晒されれば侵害されてしまう人権を有している者として扱ったとき、人々皆の正義のために働く警察の方々から私も全ての人々皆と平等に80億分の1の愛情を向けられていると実感して、自分も愛の巡りの中に存在している人間の1人なのだと思えた
警察の職員さんはご職業としてその愛ためにご自身の働きを社会に提供することを選んだ方々だ
そして、そうではない一般人も含めた皆に共有された同胞愛というプールがあり袖触れ合った人も地球の裏側の人も80億分の1ずつの愛を与え合う
愛する身近な者やパートナー等の有無は別としてこの同胞愛は皆にある
皆がこのプールで80億分の1を80億個ずつ集めることができるから、誰もが1人の、そして一人の人間なのだ
それは同時に、犯人や、いかなる各種凶悪犯であろうとも、80億の「人間」に含まれていると認めることを意味している
だから悪魔に犯人が始末されることを望んではいけないのだ
あくまでも犯罪者であろうと法治国家の正しい手順に則り人権が保障された上で処罰されなければならないのだ

いかなる犯罪者もが我々と同じ巡りの中にいると認めるのはとても勇気のいることだ
(だって私のケースでは犯人は私をただの肉くらいに思っていたから不同意わいせつができたのだろうに、肉扱いしてくる相手を自分は人間扱いするなんて無謀だ)
でも、誰もが誰もに愛されていればこそ、誰もがそれを成し遂げられるのだ
(犯罪者は成し遂げていないようにしか見えないのだが、法治国家では失敗しても更生の機会は与えられる)

そう考えたとき、相互さんにかけられたあの言葉が腑に落ちた
(私は自分が人間ではないことの説明の一部に愛を用いていたため、愛を根拠に諭された言葉が一度ぴたりとはまってしまえば大きかったのだと思う)
私は今後の人生において自分が誰かと親密な愛を相与え合うようになることは無いと既に確信するに至っており、それくらいの簡単なことにもっと早くから気づけてさえいればマッチングアプリを始めることもなくこのような目に遭うこともなかったのにと深く後悔してはいる
しかし、その相互さんだって80億分の1の愛(と、それに加えてお友だちとしてきっと少しの親密な愛も)を向けてくれているからこそ、あの言葉を私にくれたのだと思う
私はその相互さんがどこかで生きていることに感謝している
それもまた愛だ
どうして私は自分が孤独だと思い込んでいたのだろうか
愚かだ*29

提出後

被害届を出したことに断じて後悔はない
とはいえやはり不安も大きい
犯人は私なら泣き寝入りしてくれるだろうと期待して不同意わいせつを犯したのだろうに、それを裏切られて私を恨んでいるのではないか
今この瞬間も腹いせに復讐を企んでいるかもしれない
被害届なんて出さないほうがましだったと思わされる日が来るかもしれない
後悔はしていないが、怖くない日はない
それに裁判も怖い
所轄の警察署での聴取の際には被害者にとって負荷の高そうな質問は丁寧な前置きがなされたうえで「検察で必ずされる質問だからここで聞いておく必要がある」との説明のもと行われた
その態度を人道的なものだと思うが、対照的に検察では被害者の負荷に対してさほどの配慮がなされていない状態で質問を受けることになるのかもしれないとの不安も増すこととなった
仮にご配慮くださったとしても、そもそも口を開くこと自体の苦痛はなくならない

また、裁判が明るみに出れば私は「性被害者」という目線を向けられる
私のことを「性被害に遭った恥ずかしい奴」と見做す人もいるに違いない
これは自罰感情が犯人の責任を自身に転嫁するものであるのに似て、どこか遠くにいる犯人の恥を目の前にいる被害者に転嫁するものでしかないだろう
これまでで自罰感情に対しては一歩ひいた理解をある程度ではあるものの持てるようになるプロセスを経てきた
しかし、それに似ているからといって、他者からの目線まで一歩ひいて冷静に心を痛めることなく受けとめられるわけではない
そして他者へ変容を求めることなどはできるはずもない以上、性被害者が泣き寝入りを選択しないなら、自身を恥の目線というさらなる砲火の中に晒さなければならない状況は変わらないのだ
また、裁判に臨むことになる犯人自身も己が恥を認識せず(あるいは意図的にすり替えようとして)被害者を攻撃するかもしれない
犯人にとって警察や検察の捜査を受けることには(自業自得とはいえ)負担も不安もあるだろう
そして周囲のお友だちに話を聞いてもらいたくなったときには何と説明するだろうか
「この前手を出そうとした奴がたまたまメンタル弱すぎで、泣き出した挙句に警察に行った。僕は何も悪いことをしていないのにとんだハズレをひかされて迷惑千万だ」
反省してくれていることを願うが、こんなふうに私の名誉を傷つけることを吹聴しているかもしれない
またそれにとどまらず、裁判で言い逃れをするために私を公的な場で攻撃するかもしれない
反省してくれていることを願っているが、実際のところどんなに私を性加害の延長線上でさらに侮辱し、人間性を否定し、攻撃したとしても驚きはないのだ
私にとっては、法的な決着をみるまで事件がまだ終わってくれていない感覚がある
だから犯人が犯行の日と全く同様に私を肉扱いして攻撃しつづけてくることを想像するほうがはるかに自然だ
泣き寝入りをしなかったことで、私はやはり自分が、攻撃を受けたところで傷つく主体となる人権を有しないただの肉塊であり、どうなろうと心を痛める周囲の人間も存在しないから人類の益の総和のために性犯罪にあてがわれることを神に期待され、むごたらしい目に遭わされ続けようと釣り合う程度の廃棄物としてしか産出されなかったのだ、と再確認させられることになるかもしれない


性犯罪は示談で済まされることも多いとされている*30
私は犯罪被害を申告するのは今回が初めてであるため他の犯罪のときとの比較はできないが実感として性犯罪の法的手続きは被害者にとって非常に大きな負担を伴うものであり、長引かせないメリットが大きいことから示談率が高くなるのも頷ける
不同意わいせつの示談金の相場は、(瑕疵がありみっともない恥ずべき)私の基準から考えるのではなく、50代の目線を基準に考えればおそらくは例えば今の車を改装してオプションで好みのカラーのシートや踏み心地の良いマットなどを自由に選び付け替えようと思うときになんのことはなく決済する程度の額だろう
犯人に「性的行為をしたくなったタイミングを自由に選んで不同意わいせつを犯し示談金を払って不起訴にしてもらう」というオプションが存在していると思われたくない
それにもし私が自主的な死を決断したあとでもこの犯人がオプションのおかげで一切のダメージを負うことなく普通に暮らしているところを想像するとやるせなくてやりきれない
だから、裁判の過程でさらに傷つくかもしれない私の尊厳を犠牲にしても構わないから犯人に不起訴のオプションは与えたくない
(だって私が傷ついて悲しむ人間なんていないのだし)
これは公益に適わないただの怨嗟なのだろうかとも自問したが、正しい法のプロセスに基づく望みである以上は公益に適う処罰感情に分類されるはずだ

 

私は性被害者にはなれない

#MeToo運動などもあり、性被害者は前世紀までに比べれば発言権を得てきたといえるだろう
しかし今以て「恥の視線」に晒される
また、それを向けられなかったとしても
「可哀想に……だからあなたの発言は特別な『配慮』のもとで一般社会とは切り離して扱ってあげなくちゃ」
と悪意なく周縁化されることもあるだろう
すると性被害者による一般的な発言が「性被害者という特殊なバイアスのかかった立場からの発言」として敬遠されてしまうかもしれない
性被害者であることを明かすなら、それら全てに厳然と立ち向かいつづけなければならない
私にはできないように感じられる
今後意図せず何らかの形で事件が誰かに知られてしまうケースを想定すると、その後どのように生きていけばよいのか分からない(、前章で述べたことは本当に『犠牲にしても』なのである)
裁判の手続きが長期化するほどその危険は増しそうで不安だ
(個人的な事情からこの危険への対処には避けがたい大きな困難が伴っており悩まされている)

それに、私は本当に懦弱で、物の道理を何も理解できないほど愚かで、あまりに未熟だ
私という性被害者のサンプルを目にした人物が「弱い奴が性被害に遭う」という誤った理解を持つかもしれないと考えると、それは私には防ぎようもなくて責任を負うべきことではないものの憂鬱な気分にはなる

それだけでなく、もっと大変な目に遭われた性被害者の方々と自分を比較するとただ自分が軟弱なだけにも思える
もっと残虐なことをされて重篤な症状を抱えながら必死に生きているような方もいらっしゃるのに、私はPTSDになることもなく*31、些細なことで勝手に傷ついた幼稚なだけの廃棄物ではないのか
私は被害に遭った日の夜、自分が何をされたのか把握しきれず「犯人はただちょっと痴漢したかっただけで行為に深い意味なんてなかったのに私が独りでに性的な苦痛を感じただけではないのか?」とも思えてきていた
(※痴漢も立派な犯罪であり迷惑防止条例違反または不同意わいせつ罪で警察に行くべきことに変わりはないがこのときの私はまだそれに気づいていないので法的におかしなことを言っている点には目を瞑っていただきたい)
自分ですらそんなふうに考えてしまうのに他者に知られればなおさら「それくらいの小さな被害で泣き喚くほうが間違っている。自意識過剰で考えすぎだ。それくらいで警察の手を煩わせるのは公的リソースの浪費でありお前は国民の敵で害悪だ」と言われるかもしれない
そんな害悪の廃棄物と一緒にされては被害者の方々はいい迷惑だろ


不同意性交等罪*32は五年以上の有期拘禁刑と定められており上限はこの条文内で示されておらず、有期拘禁刑の上限*33である二十年が基本的な最長*34である
これに対して
不同意わいせつ罪*35は六月以上十年以下の拘禁刑と定められている

犯人の手があと数cmだけ意思を果たす方向に伸ばされていたら罪名は変化していたが、私が現に遭遇した犯罪の罪名は不同意わいせつなのである
もっと大きな刑を科されるような大きな犯罪に遭遇なさってしまった方は私のような軟弱者のせいで性犯罪を世間から軽く見られてしまうことを苦々しくお思いになるのではないか
また同じ不同意わいせつ罪にお遭いになった方もただでさえ法定刑が軽いのにこんな廃棄物と一緒にされてしまってはさらに軽んじられてしまう不安をお感じになるのではないか


私は被害の日まで自分がこれほど弱いことを知らなかった
被害者は被害そのものと戦うだけでなく世間とも様々な形で戦わなければならない
強くなければ被害者ですらない


私は犯人から解放されたときにお辞儀をしてしまった
機嫌を損ねることが怖かった
円満に曖昧なまま立ち去ることが安全面でベストくらいに思っていた節がある
お辞儀をしてしまったあの時点で私は誰とも戦えない廃棄物であることが既に決まっていたのではないか
(しかもお辞儀を根拠に犯人に『触られて喜んでいた』などと主張されたらと思うと悔しくて悔しくてならない、戦わなければいけないのに自分が弱くて戦えない、自分自身を苦しめてさらに侮辱されて性犯罪者だけが得をする)

廃棄物は廃棄物らしく消えればいい
それは何も生まないが、誰の迷惑にもならない

世界を平和にするのはきっと芹澤優さんみたいなお人

犯人が怖がる私に対して投げた言葉の一つに「可愛いなあ」があっ
気持ち悪かった
(私が電車内痴漢で触られたことのある中で最も奥の部分よりもさらに奥の部分まで触られていたため、痴漢経験を加味したとしてもある一定以上のラインに関しては)性的接触の実績解除ばかりか、物心ついて以降に「可愛い」と言われる実績解除までいつのまにかなされてしまった
本当に気持ち悪かった
全身義体が実用化されて自分の肉を全て切って捨てて入れ換えることができるようになり「私の身体」の所有権を私が再び手に入れられる日が来たとしても、一歩も動けず泣くことしかできない惨めで愚かで軟弱な私が可愛いと言われてしまった事実を消せる日は来な
内心で何を思われようと私にそれを云々できる道理は無いが、口に出されてしまえば気持ち悪い

「可愛い」という言葉はもっと、愛す可し存在に対して使われる言葉のはずだ
自分の暴力によって恐怖を与えられ、抵抗力を失くし、意のままに苦しめることができる状態になるような相手に対して使う言葉ではないはずだ

私は今まで大切な推したちを応援したいときにその言葉を使ってきたし、仮に自分に対してその言葉が使われる機会が訪れるようなときがもしあるならそれは自分が他者から応援されている、大切にされていると実感できるときだと思っていた
私のような廃棄物が他者から大切にされる機会はないと重々学んだ
あれが生涯ほぼ一度きりの「可愛い」だったのかと思うと忌々しくてならない
(サロンやアパレルの店員さんから義務の可愛いを頂戴したことはあり、寄す処とするべきではないかもしれないがおかげでほぼの二文字を付けさせてもらえるのは大変ありがたいことだ)

大切な推しに対して「可愛い」などという言葉を安易に投げかけてよいのだろうか
対象を我々の望む型に閉じ込める言葉になっていないだろうか
今までずっと忌々しく思われてはいなかっただろうか

「可愛い」は呪いなのか
気を紛らわせたくて推しを摂取してもそのようなことを考えてしまって気が晴れずにいたときに私を救ってくださったのは芹澤優さんだった


www.youtube.com


せりこかわいいよせりこ大天才

芹澤さんの提示する「可愛い」は自信に漲り、人間味に富み、生命力に横溢し、優しさと気遣いとそして愛とに満ちていた
芹澤さんはとても強い人だ
だって強さは愛だもの
可愛いは力だ

芹澤優は愛
愛は世界
世界is芹澤優

解呪してくださったのは芹澤優さんです
芹澤さんがいらっしゃれば今日も世界は平和です
深く感謝しています

もうお一方とても感謝しているのはファイルーズあいさんだ
 

https://www.instagram.com/fairouz_ai/

可愛くてクールで独創的なアイデアが満載なので是非ご覧くださ

 


ご自身も苦難を経験しながらもファンに実直で優しいお言葉をかけてくださる
実のところ、私は自分と比べてしまって、自分にはこれほどの回復力はないように思われて情けなくなってしまう瞬間もあった
それでもファイルーズあいさんは、弱さにも寄り添った発信をしてくださる
私がある日眠ることが怖くなって起きることも怖くなってどうにもならなくなってしまったときにどうにかなったのはファイルーズあいさんのおかげであり、感謝しています

可愛い

さて、「可愛い」という言葉を推しに受けとってもらいたいとき、その言葉はひたすら愛を理由に発されるべきだ

自己の満足のためだけに相手をジャッジして非難する言葉である「ブス」は、「可愛い」に対置されている
一本の数直線の左端を「ブス」と呼ぶとき、その右端を呼ぶ言葉としての「可愛い」もまた、「ブス」と同様に自己の満足のために相手をジャッジする言葉だ
そのジャッジの結果が称揚だったとて、それを押し付けられて「わーい嬉しいありがとう」と無邪気に受けとれるだろうか
受けとれる方もいらっしゃるかもしれないが、そのような方ばかりではないだろう
その言葉の芯にある傲慢な攻撃性は真綿に包んだところで消え去ってはいない
まさに、犯行によって動けなくなりいくらでも自分の意のままに苦しめることのできる肉に対して犯人が向けてきたのと同じ、身勝手な攻撃性だ
(犯人は、私の体型を褒める言葉も口にしていた
ショックを受けて怯えている私を宥めるための言葉だったのかもしれないが、私とは逆の体型の人のことは見下すのだろうなとしか思えなかった)

大切な人に受けとってもらうための「可愛い」は、数直線とは無関係の、独立した「可愛い」でなくてはならない
だから、大切な人に可愛いと伝えたその同じ口で誰かの容姿を批判してはならないのは最低条件だ
そのうえで、対象への果てしない敬愛の念を込めて言うのが望まし
毎回そこまで念を内省せずとも毎日軽率に「可愛い」と言って構わないかもしれないが、少なくとも、対象のことを自分のジャッジを押し付けてよい存在として軽んじることは1秒たりともあってはならない
自身の有する判断基準に基づく評価を考えるのはそれがどれほど攻撃的であったとしても内心の自由の範疇だが、口に出して押し付けた瞬間に自由の範囲を逸脱する
「ブス」が押し付けなら、その対義語としての「可愛い」もまた押し付けなのだ
「可愛い」は、何の対義語でもなく、ただ「可愛い」として存在しなければならない

あとはまあ、学生ミスコンとかに出ていらっしゃるタイプの推しとかはもしかすると数直線上の可愛いも喜んで受けとってくださるかもしれないが(※そんなことないってば)、左端と右端とはいえども廃棄物と同じ線上には並べられたくないだろうから私は自分を指してそのような言葉は使いたくないとも思う

傘を持たずに歩く自由

被害に遭う少し前に読んでいた小説がある

 

アフィリエイトではない

恋愛がテーマとなった短篇集で、表題作には「マッチング恋愛」がキーワードとして登場する
(なにもマッチング型の恋愛の例としてマチアプが明示されるようなことはないのだが、アプリで条件を絞った相手とマッチするような行為はまさしく作中でマッチング恋愛と称されているものに相当するだろう)

その初見時には、私にとって最も胸に迫る一篇は表題作ではなかっ
(『花束の夜』が際立って印象深かった)
しかし、事件の後に再読した際にはこの表題作の印象ががらりと変わった
身近な面ではなくソフトSF的な面がより目に留まるようになった
するとかえって、このお話の一文一文が一気に現実的な差し迫ったものとして感じられるようになった
人類に知覚できる程度の時空には最果てまで行っても希望がない
そんな陰惨な気分になれる

あれ、以前はそんな気分を募らせられることはなかったと記憶しているのにおかしいな
作者さんはこの短篇集のこの位置にそんな感情を引き起こすための作品を置くだろうか
(一度世に出た作品の解釈なんてアンコントローラブルなものであってしかるべきではあると思うけれども) 
もしかして私は被害によって暗い受けとめ方しかできないふうに偏ってしまったのだろうか
ほかのどなたかの解釈も知りたい
でも本を渡して感想を求められるようなお友だちは周囲にいない
いたならマチアプなんて始めていなかったのだから当然だ

私の肉がもう自分の手に取り戻せないことは知っていたが、触れる世界への私の接し方まで何か偏りを与えられてしまっていたのだろうか


最近、病院で血圧を測っていただくことがあった
看護師さんが測定器を通すために私の腕を取ってくださったとき、間接的にゴブリンを触らせてしまったことが申し訳なくて心苦しかった(そもそも既に使い終えられた私のために医療リソースが割かれる必要さえ無いのにそれも申し訳ないが、医療従事者の皆様は廃棄物だろうとゴブリンだろうと80億の全てを平等に治療してくださる)
それから、やはり苦しむのが私でよかったと神には思われていると悟った
誰とも親密になることがないと明白である私のような物以外の者が同じ目に遭っていたなら、その者は親密なお友だちやパートナーやご家族たちと空間を共有する度に間接ゴブリンの危険と向き合わなければならなくなっていただろう
それほど頻繁に心を痛めていてはお辛いはずだ
また被害に遭われた人間の方がもしいつかパートナーの方とまたふれあうことを望む日が来たなら改めてさらなる苦痛に襲われるのだろう
それは廃棄物には知り得ない苦痛だ
やはり、たった一件といえどもその影響は大きく、だから一件といえども廃棄物で人間の方を代替できたことには意義があったのだという感情を新たにした
そういえばこの感情には何か名前が付けられていたような気がする、この頃は疲れてもう思い出せません


そういえば一冊江國香織さんを積んでいた

人と人とが社会を成せば常に戦争が起きている

私には読めないかもしれない




いくらかの不安を抱えつつも急性期は脱し、それなりに安定した日々を送っている
おそらく、私が10個体あるなら自然死・病死・事故死・事件死が来るよりも前のタイミングで死を迎えることになるのはそのうちの1個くらいではなかろうかというレベルにまで落ち着いている*36
降水確率が10%なら私はレインポンチョで出かけることはない
40%や80%のときと比べればポンチョに袖を通さない自由を行使しやすい状況だろう
これ以上ないほど穏やかだ

降られたときのことを想定した計画も立てたりもするし水気厳禁のものは屋内に入れておいたりもするが、基本的には降られないものと思って過ごしている
私が死んだ時に犯人が社会的に無傷でいたらやりきれないと思ったりもするし私個人がコミュニティ内で長期的に責任を請け負うようなことは辞しておこうと思ったりもするが、基本的には濡れずに歩いて行けるものと思って過ごしている

前述したようにリスク因子を抱えている自覚はあるが、自覚のうえで対策の必要性を感じるくらいにはまだ歩いている心づもりでいる
でも本当は楽になりたいとも少しは思っている
傘を持たずに濡れる自由だってあるはず
できるたけのことはしつくしたからあとは天に任せたって構わない
これ以上ないほど穏やかな日だ

蛇足をまとめる廃棄物

もしお一方でもこの拙文をここまでお読みになった方がいらっしゃるなら(ありがとうございます)「精神科へ行け」とのご感想をお持ちになることだろうが既に通院中であるためご心配には及ばない(ありがとう)

物事を振り返って記述しているときに後悔の念が大きすぎるとその念が紙幅を覆ってしまって明瞭な筆が進まない
また感情も入り組んで時系列が分かりづらく思われるが、これは心が一方的に単線を描いて漸進するものではなく行きつ戻りつしながら常に揺らいでいるばかりか矛盾する感情が同時に去来することさえあり、自分でも整理しきれるものではなかった

元来の客観的視点の乏しさや説明力不足とあわせて大変読みづらかったことと思い申し訳ない
また、一部の章では繊細な話題のバランスをとろうと継ぎ足しを重ねて註の違法建築を乱立させてしまった
しかも何ら意義のない註まで一部混在しているがどこかの瞬間には修正に見切りをつけなくてはならないためもうこのままにする
最も意義がある(かどうかはさておきお読みいただきたい)註はもちろん、「殺チン犯の犯は半濁音化される」である
実を言うと「殺チンパン事件の殺チン犯」というフレーズを思いついてしまったとき、このような最大見込みPV数3くらいの長文で使ってしまわずにここだけ切り取って短文用のネタとして取っておくべきだろうかとも悩んだ
しかしダジャレユーザーはおしなべてダジャレのコンテンツ力を過大評価する傾向にあることはひろく知られており、切り抜いたところでばずることはないと思い直してこのまま採用し
 
「殺チンパン事件の殺チン犯」をどなたかお一人にでもお聞きいただくこと、それから今後妙な気を起こして危険な目に遭いそうになるどなたかをお一人でも思いとどまらせることが叶えば嬉しい
 
最大3人最小0人の皆様には、自身ですら捉えきれていないこの日記をお読みいただいて感謝している
私は言葉でものを考えることが得意ではない
浅はかにも黒かびが気が変になるほどもはびこる脳内にはこの期で神を聞き分けて論証は放棄してしまう欠陥がある
他者から思考を再開させる秘薬の言葉一つ頂戴したところで「愛」の言い訳で本当は逃避しているだけではとの懸念もある
 
この切って捨てるべき血と肉とがまだここにある限り溜まり続けるかびや膿は言葉かなにかにして吐き出されないといずれ私の全てが壊死してしまう
もうそれでもいいのかな
後日

とここまでマッチングアプリを使い始めてからの顛末の草稿を書き、しかし捜査中の事件のことをアップロードするのは不用意だろうとしばらく脳内から退避させていた

そして先日警察の方から、捜査を終えて書類送致が無事済んだと通知するお電話をいただいたため、最近のできごとやニュースを踏まえ加筆してから公開することとした


その通知をいただくよりも少し前、別の用件でも警察署からお電話をいただいていた
久しぶりに事件に関わる話を聞いて指が震えた
事件から一定の時間が経ち急性的なショックからはある程度立ち直れたと思っていたのにこんなにも取り乱してしまう自分は軟弱だと痛感した

お電話の内容は、犯人の弁護士が示談のために私に連絡を取りたがっているとのものだった

私が警察の方にお話しして以降誰にも相談できず*37一人で悩んでいた間に犯人は自分のために働いてくれる信頼のおける弁護士さんを見つけていたのかと思うと、比べるようなことではないのに比べてしまって孤独感が一層深まった
犯人のために働く有能な弁護士さんに愚かな私が一人で相対さなければならないと思うと気が遠くなる
とりあえず放置させてもらうことにして回らない頭で電話を切った

その数日後に書類送致の通知をいただき、さらにその数日後、再び犯人の弁護士からの連絡待ちを知らせるお電話をいただいた
前回の連絡待ちの電話のときは精神的に参ってしまってあまり話の内容が頭に入ってこなかったのだが、警察の方がご説明くださったところによると、最悪無視しつづけても法的に問題は無いらしい
というわけで今も無視しているのだが、やはりわざわざ二度目の催促までしてきているのにこのままでいれば犯人は痺れを切らして私に直接危害を加えることを企てるのではないかと怖くて怖くて仕方がない
ここしばらくどうにも体調が良くならず、ずっと怯えてしまってい
でも、泣くことしかできなかった日のことはもう反省して、繰り返したくない
犯人は私があの日と同じく怯えて何もできなくなることを期待して弁護士の先生に催促させたのではないか
そうなってたまるものですかと思う

私は犯人の期待するようなただの肉になんてならずに戦わなければいけない
肉を切り離した私は私自身のものであることは何をされようと覆されないと信じている
このブログの公開がきっかけとなって犯人に居場所が知られる危険はなかろうかとも怖くなったが、むしろ「私はここで実際に生きている」と至極当然のことを叫びたいというくらいのつもりで公開することに決めた
(捨て鉢になって身の危険をあえて増すだけの真似をしているのではないのだ

ただ正面から堂々と戦いたいのだ)

いつでも弁護士さんを頼れる犯人は、私には頼れる相手がいそうにないことまで察したからこそ私なら黙ることしかできないと踏んで犯行相手に選んだのかもしれない
弱者だと思われている
悔しい

報復を怖れてはいるが、それでもこの一文を書いている私はこの瞬間に泣いてなどいない
犯人の思い通りにはならない

どこにでもある事件

世間では性暴行に関するニュースが毎日のように流れている
これを書いている今も、痛ましい事件を新たに知ったばかりだ

ところで、多くの人々の記憶に残るような事件は被害者が人目を惹く容姿をしていることが多い
今年最も衆目を集めたのはフジテレビ元局員の事件だろう
被害者名は公にされていないがアナウンサー職であったことが明かされている
アナウンサーといえば報道に求められる高い知性とお茶の間から愛される容色とを兼ね備えた花形職だ
編成部長はその部下の魅力に目を付け、自身の組織内での権益確保に利用した
結果、元局員は事件に巻き込まれた

 


誰から見ても魅力が皆無でさらに愚かな選択をしつづけた結果として性加害者のもとまで流れ着いてしまう私のような者もいれば、誰の目にも魅力的だったがゆえに利用されて選択の余地なく性加害者のもとまで行かざるを得なくなってしまった元局員さんのような方もいる
性暴行はどこにでもある

元局員さんに対しては「美人が調子に乗って勝手に傷ついたってお気持ち表明してるだけ」「この美人の私が振られるわけないのにってヒスっただけの失恋事案」などといった誹謗中傷が飛び交っている

被害者のことを目障りに思う人々はその被害者が美人なら美人という理由で中傷している
その人々はきっと被害者が不細工なら不細工だったで
「男旱の不細工が心狭すぎて大袈裟にびくついて勝手に騒いでいるだけ」「幻覚でも見たの?どんな性犯罪者でもこんな不細工なんか願い下げに決まってるのに」と中傷するに違いないと想像してしまう
戦わなければならないものが、あまりに多すぎる

このようなどんよりとした想像をしているとつい、もっと仄暗いことまで連想してしまう
もし私がいつか安心して所属できるコミュニティを見つけたつもりになってそこで性被害について打ち明けたとき、「不細工なのにそんなことあるの?幻覚でも見たの?」と言われたらどうしよう
それが怖くて押し黙る
しかしここで口を閉ざす私は、信頼で結ばれたはずのコミュニティの中で一人周囲をルッキストかもしれないと警戒しているとても失礼な異分子ではないか
それが怖くてそもそも口を開こうなどとは当初から考えつきもしなかったことにして自分を納得させる
こうしてうっすらとした罪悪感と疎外感だけを残して、誰にも相談できない状況は変わらない
手詰まりにならない想像ができない


また最近、ひめゆり園の植松聖死刑囚と獄中結婚した植松翼氏のインタビュー映像も大きな話題を呼んだ
翼氏は15才のときに性暴行に遭い、十分な証拠が残っていなかったこととその加害者が知的障がいを有していたことから逮捕もされ*38、また事件の後遺症から自身も記憶障がい(解離性健忘障害)になった経験を持つ人物だ

そして障がい者の大量殺人という衝撃的な事件の報に接して関心を持ち始め、調べる過程で犯人の植松死刑囚との面会を目的として結婚したそうだ

インタビュー映像から窺い知れる範囲の翼氏は常に問いを立て続けることを止めず人生をかけての行動力にも優れた非常に聡明かつ実践的な人物だ
付け加えると見目麗しい方でもある
(翼氏に対しても意地の悪い言い方になってしまうかもしれないが、植松死刑囚はきれいで可愛い人には紳士的で、ふくよかな女性にはぞんざいに接していた(し自身も美容整形をしていた)との元交際相手による証言*39がある 

世間からの注目度の高い一例が自説に合致していただけでその補強ができたような気になるのは慎むべきだが案の定という気にはなってしまった)

インタビュー映像のコメント欄は賛否両論だった
そうなる主な理由は翼氏が巨悪としか言いようのない死刑囚のことを愛していると公言し、そればかりか敬ってもいるように振る舞っている(親族であるはずの植松死刑囚に対して尊敬語を用いたり、囚から自分を『この子』と認識されることを許容したりしている)点にあるように思われる
翼氏はこのような殺人事件はあってはいけないとの旨を言明しており断じて障がい者の殺人に賛同などしていないのだが、コメント欄を見るとそれを字義通りには解釈なさらなかった方が多いようで、それは個人的には理解の及ばない現象である(抽出されているのが字義通りに解釈しなかったからこそあえてコメントを書き込むほど強く感情を揺さぶられた方々なのかもしれないが)

否定的なコメントは「どのような事情があろうとなかろうと殺人をヒロイックに扱うなんて絶対にいけない」
肯定的なコメントは「もし本当にこのような事情があるなら殺人をヒロイックに扱いたくなってしまうのも理解できる」
とそれぞれこういったものが多かった
(私の耳には翼氏が殺人を英雄的行為だと述べたようには聞き取れなかった点は書き添えておきたいが、翼氏の過去の経緯をそのようなストーリーラインへ誘導するようなインタビュー構成とはなっていたかもしれない)

これらのコメントを拝見していて私が気になったのは、翼氏に対して否定的なコメントばかりでなく肯定的なコメントでさえ、冒頭に「もし性被害が本当なら」との留保を付けた言い回しをしている方がとても多かった点だ

これは、加害者(とされる人物)が逮捕もされず発言するに至るまでの場が無かったことで被害者(とされる人物)の一方的な発言のみが発信されることとなり、「それを信じてしまうのは公正ではない」との良識をコメント欄の皆様が抱いていたことを意味しているのだろうか
また、障がい者への強い憎悪と差別心が発端となった殺人事件に関連する話題の場で事実確認の術がない「障がい者による性暴行事件」を「起きたもの」と断定してしまうのは差別的だと後ろ指をさされることを懸念する人も多そうな状況となっていることや、あるいは翼氏は現に記憶障がいを患っておりこれを「性暴行によって発症した」と理解することもできれば「あるとき何らかの強いショックによって発症したが当人の脳はそのショックの記憶を保持することができず代わりにショッキングな性暴行虚偽記憶を当人に幻覚として見せた」という理解もできると判断した人も多そうなことも関係しているのかもしれない


「辛い経験をした」と勇気を出して語っている人がいまここにいるのに、その人に対して「もしそれが本当なら」と制限を設けた言葉しかかけられないのが法治国家に生きる国民の公正さなのか
それなら私は正しさなんていらない、と、再び悪魔悪魔悪魔悪魔悪魔悪魔悪魔悪魔と契約したい気もちが戻ってきてしまった

翼氏は特定の人物を名指しで告発しているわけではないのだから「疑わしきは罰せず、私刑もしてはいけない」と言ったところでその疑われる対象は空席なのに、その状況でも無条件に信じることは罪なのだろうか
特定の人物でないとはいえ障がい者という属性を名指ししていることから、その対象を疑ってしまえばその属性への差別に発展する懸念はあるかもしれない
障がい者という属性が秘匿されていれば皆信じられたのだろうか

 

性暴行が原因で記憶障がいを発症したのにその記憶障がいを理由に性暴行の証言も疑わしいとされてしまうのか
それなら翼氏にはあまりにも救いがない
結局のところ性被害の訴えなどいつでも世間様が握り潰せる程度のものでしかない

暗澹たる見通ししか立たなかった


それでも私が悪魔に縋る心をどうにか調伏したのは、単に悪魔など現実に存在してはくれないという消極的な理由によるところが大き
残りは、やはり警察の方が私の話を元に捜査してくださったのもまた現実であると思えたところによるため、あらためて警察の方々には感謝している

しかし翼氏の事件のように警察の力の及ばない場合もある
またフジテレビ元局員の事件でもやはり犯人を警察に突き出さなかったことで被害者は明らかにさらなる苦痛と損害を被っているように見える


警察が見つけてくださるような確たる証拠が残っているかなど運要素が大きすぎるし、見つからないかもしれない不安はそれだけで被害者を沈黙させうる
被害者の人間性を認めない加害者に対しては、その人権を認めて法に則った処罰感情を抱くより「あなたも人間ではないから悪魔に始末されろ」と言ってしまうほうがはるかに簡単だ

被害者は難しいことをたった一人でしつづけなければいけない
苦しい
(その苦しさは全ての苦しみのほんの一部でしかないけれど)

 

 

*1:この場合のオスでっせな主張とは、必ずしも「メス」(メスとその相手がみなしている存在またはメスという概念)とのリレーションに依る表出に限らない(、下ネタどうこうの話でもない)
したがって性的な目で見られることへの嫌悪感を述べているのではない
そもそも私自身はマッチングアプリを利用するようになる以前に誰かから性的対象とされた経験は私の認識している範囲においてほぼ一度もなく、よって性的な目を向けられる嫌悪感も抱いたことはな
ほぼというのは痴漢被害には幾度か遭った経験があるからなのだが、人生で初めて電車に乗るよりも前に痴漢が扱われたなにかの記事を読んだことがあり、そこでは痴漢の動機は性欲でない場合が多いと解説されていたため(その解説にどの程度根拠があるのかは存じ上げないが)、中学からJRの某痴漢多発路線で通学するようになりほどなくして痴漢に初遭遇した際とても不愉快には思ったが性的なものだという理解はもたなかった
またそのとき後ろを振り返って犯人を特定しようとしたところ経緯は省くが難しく、急いでいる朝だったことなどもありこの件には蓋をすることにした
それ以降同路線にてたびたび痴漢行為に遭遇したがすっかり無視を決め込むようになった
過去にはそれが最良だと信じていたのだが、このエントリの後半の内容から、いまでは可能な限り犯人を見つけて警察に通報したほうが良いと思うようになった
私の学校を含めた複数の女子校が立ち並ぶ区域の内ではたびたびホームルームで周辺の不審者・痴漢情報が他校とも共有されていたのだが、私は痴漢情報の報告すらしなかった(数校の生徒数千人が日々遭遇しているであろう被害の実際の件数からすれば共有されている件数はごくごく一握りであり、逐一報告しないほうが平均的な態度だと思っていた※ただし、即時逮捕された事件については周知の必要がないとされて共有されなかったために私が把握していないケースもあるだろうから、これをお読みの痴漢志望者がもしいるなら「忙しい朝の通学電車は通報されにくい穴場」などと解釈しないように)

*2:マチアプの利用開始以前に自分がどういったジェンダーの相手を好むのか結論を出せるほど検討した経験はなかったのだが、利用したアプリは男性アカウントへの連絡は無料であるのに対して女性アカウントへの連絡は課金が発生する場合があるという傾斜をつけた仕組みになっており、私は毎月自分の手で決済できる額が2000円前後であるため女性アカウントとの連絡となると続けることが難しくなることもあるかもしれないと思い、お恥ずかしい話ではあるが深い検討を経ず男性アカウントとの連絡におおよそ絞っていた
さらに恥を上塗りするが、このアプリは男性アカウントからメッセージを受け取るとポイントがもらえる俗に言うポイ活アプリの機能も持っており、それがどれほど掃いて捨てるほど大量の腐敗物(次項にて詳述)を受け取ろうとも私をほかのアプリに乗り換えさせることすらしない原因となった
(掲題は「世代差界隈は魔境」としたが、この失礼ながら歪とも思える仕組みで運営を成り立たせている場所であればその中の特定の界隈とせずともどこでも魔境が出現しうることは予期すべきだとご賢明な方ならばお考えになるかもしれない)

*3:3人くらいに会うとき
アプリ上で得られる情報のみからそれを判別する術は無いものとしてその割合が1/10の世代,1/20の世代なら1-0.9^3=0.271,1-0.95^3=0.141625である
(0.27は許容できずとも0.14を許容するのであれば1-0.9^1=0.1も許容できるはずだがギャンブルすぎてそれを選ぶ理由がない)
ただし、後に振り返って気づくことだが、マチアプ利用者というサンプルは母集団をそのまま反映していない
親しい異性の相手を欲しながら生きている人であれば年代が上になるにつれ特定のパートナーと既に出会っている確率は上がってゆくのだから上の年代のマチアプ利用者のほうがより偏りのある集団であり、結果としてまさにメスとのリレーションに依ってオスの自我を主張したい方の割合はもう少し高く見積もられてよかったかもしれない(※もちろんご年齢問わず異性への積極性をお持ちになる(そしてその目的が事と次第によっては自己実現である)個体が出現するのは普通にありうることでありそういった主張が特別なくとも利用することはあるだろうし、またそういった主張は単に私が苦手としているだけで文化によってはむしろ美徳となることもあるのだろうがこの先で非常に悪く言う箇所があるので予め謝っておきます。ごめんなさい)
利用開始時点でこの偏りを考慮していなかったため私が考えていたことは全くの無意味であったと思われる

*4:余談だが、あくまで体感でしかないもののジャンプやマガジンなどの国民的人気作の登場人物名をユーザーネームに利用している方は例外なく言葉づかいが非常に荒かった
やはり人気作にあやかりたがるだけで己の固有性を示そうともしない安直な人間が濃やかなコミュニケーションを心がけているはずもないからだろうか
とはいえもともと丁寧な方のほうが圧倒的に少ない中にあってキャッチーなユーザーネームの方のほうばかりが強く印象に残ってしまったという色眼鏡のかかった体感かもしれない(Xでアニメアイコンが叩かれる理由であろう)
途中から「マイキー」「杏寿郎」系の固有名詞のお名前の方からのメッセージは例外なく未読無視をするようになった

*5:不勉強ではあるものの個人的にはセックスワーカーの権利の保障を目的とした性産業合法化論のほうが現状の設計より自然に思えるような気がする

*6:すみません、伏せる気のない書き方ですがアイドルさんご自身を悪く言うつもりはありません

ごく一部のファンによる言動です

*7:結果的に鑑賞する他者を心地よくさせる効用を持っていたとしても、その効用との交換が市場で行われるような類の専門的なご職業を選択された方を除けばそれが二つめの価値だとは思わない
このあたりに関して私はまだ人並みの知見を持つには遠く及んでいないが、私がどれほどの大賢者になったとしても「私の顔はあなたのためにあるのではない」という気もちは変わらないはずだ

*8:同質性の高い閉じられたコミュニティ内での「コミュニケーション」として(主にそのコミュニティ外の者に対する)容姿批判がなされることはあるだろうが、それは少なくともひろく社会善のためのものでないことはご本人たちもご理解のうえであろう
必ずしもそれが悪いとは思わないが

*9:これは自己利益の最大化のためです

*10:サーマルリサイクルの環境負荷低減効果は非常に限定的との説も有力です

*11:サンプル4例目の遭遇に対して与えられた頻度を表す副詞にどの程度の信頼性があるかはともかく

*12:オランウータンとは異なりヒトではあらゆる性別のレイピスト個体が発生しうるだろうが(その点が異なるというよりそもそもオランウータンではヒトと概念が異なる性の体系をヒト目線で確認できないだけか)

*13:犯罪の具体的な成立要件までは調べられていなくて被害者の下半身以外にのみに加害した加害者や男性器を有さない加害者への適用なども諸々知らない

*14:https://www.afpbb.com/articles/-/3513535?act=all

*15:副作用を詳しく調べることは私には難しかったが検索して読める範囲では、生殖の権利の剥奪や身体的権利への不可逆的介入などを考慮せず体調への悪影響だけをみるとむしろ化学的去勢のほうがそれを強調する記事が多かった
ただし、外科的去勢刑は実施例が多くないらしいことから参考となる記事も少ないらしく、代わりに私が参考としたものの中にはご病気のために生殖器官への外科的処置を行った方に関する記事などもあり、状況も異なれば論調も異なるため正しい比較ではない

*16:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250221/k10014729281000.html

*17:もちろん半濁音化します
なぜならばそれ以前に清音しかない単語だからです

*18:殺害の非犯罪化を夢みる生存権破棄志願者や強奪の非犯罪化を夢みる財産権破棄志願者に比して、レイプの非犯罪化を望む性的自己決定権破棄志願者はその実現によって自身は期待値がプラスになると考えている個体の割合が高かろうことに留意して犯罪抑止策を検討するべきだと思う

*19:別のどなたか、のほうが文の通りがいい気もしたのだがしかし私は人間ではないので

*20:民法第一章第三条によれば「私権の享有は、出生に始まる。」が墓地、埋葬等に関する法律第二条での定義から逆説的に12週以上の胎児が生存しているなら周囲の人々に人間扱いされていることが日本の法律上認められていると述べてよいと思う
胎児が有する人権を定めた法律は各国の差が大きいらしいこと(Wikipedia「胎児の人権」参照。私にはそれ以上のことに検索のみであたるのは難しく、いくつかのAIに伺っても理解は深まらなかった)も述べ添えておく

*21:死亡の要件はあまりに難解で諦めた

*22:この「欲望」とは、性欲に限らない
例えば紛争などの場で行われる戦略的レイブは民族虐殺への欲求を動機としている
また例えば2025年8月に問題とされた男子野球部内での大規模な一連の暴行事件の告発には性的暴行も含まれており、これはおそらく被害者を屈伏させたり動画をばらまくといって脅したり(事件現場の寮内では通信機器の持ち込みに時間制限があったようだからこちらの危険は比較的薄いかもしれないが)して加虐欲や支配欲を満たすことが主な動機だろう(複数人による暴行であるから確率的に同性に性欲を抱きうるセクシュアリティの加害者が存在しない可能性とする可能性のどちらが高いかは分からないが、この告発に併記されたほかの暴行の内容から類推するに加害者は性欲がまったく湧かない時間帯であろうとなんであろうと平然と性暴行をやってのけただろう
誕生日によっては未成年も含まれるであろう加害者たちの性欲を詮索しようとしまいと重大な性暴行事件・傷害事件であることに変わりはなく、また目的の一部に性欲があった場合でもなかった場合でも被害者の方はそれぞれに深く性的な苦しみを負う
同性愛者の男性を差別する文脈で用いられてきた経緯のある言葉で加害者を非難する声もSNSなどで見受けられたがそれは問題の争点を無視した単なる差別の再生産である)
3次元実在猟奇趣味の兵士が鼻の下を伸ばしながら戦略的レイプに加わるケースも想定することが不可能ではなく、それ以外の日常的な性犯罪にも性欲を動機の一部に含むケースが多いとされている世間でのイメージは必ずしも間違っていないかもしれない(し個人的に経験したケースの犯人も性欲を動機の一部としていたと思われる
しかし加害者の性欲の有無は被害の大きさと必ずしも関連しないことも頭に入れておくべきだろう
一つ一つの性犯罪で性欲の有無を過度に気にする風潮が蔓延することで無意識に「犯罪」部分より「性」部分に気を取られすぎる見方も同時に蔓延しかねない
性犯罪の「性」部分に着目すると公にすべきでない個人的な問題との先入観を持たれて被害者に自助努力を強要して告発を押し込めることにつながるかもしれない
しかしあくまで性犯罪は「犯罪」の下位分類である
犯罪である以上、被害の大きさが見逃されてはならない
加害者の性欲が問題とされるのはむしろ、個別の事件においてではなく、全体の事件数を減らすための社会全体での取り組みにおいて
この取り組みが求められている性犯罪以外の例を挙げると、例えば国によって発症率に大きな差があることで知られる摂食障害は大きな原因となりうるのが社会的な圧力だとされており、社会の側のひずみ(直接的に食や体型等に関わるものだけでなく間接的には過度な競争社会など社会的諸問題を指す)を見直すことで病気に苦しむ人を減らせる可能性が指摘されている
このように、一見すると単に個人の本能に関連していそうな欲求にまつわるトラブルでも、(もしかすると大概の種類のトラブルに対してそうであるかもしれないのと同じく)社会からの影響が指摘できうる
性の場合、社会のひずみは摂食障害とは異なり、自身が苦しめられる(性的な自傷行動に走るなど)人以上に加害者となって誰かを苦しめる人のほうを顕在化させやすいように思われる(ただし見えていないだけのものも多いとは思う)
性暴力のうち、ひずみから生まれた性欲が動機の発端となっている被害の件数は、社会全体で性欲(※直接的には)のひずみについていまいちど考えることで減らせるのかもしれない

*23:小学生の頃に諸々の問題への対処がいっぱいいっぱいになってしまってチャイルドライン(いのちの電話の子ども版のようなもの)を利用した際、善意ではあるのだろうが私の感覚からするとさらに追い詰められてしまうことを言われた記憶があり、支援団体を紹介する冊子を警察署でいただいたものの私には合わないかもしれないと躊躇してしまっていまだにそちらには連絡できていない

*24:後日マチアプでの金銭受領についてあらためて不安になって刑事さんに詳しくお話しし直したところ問題になることはないとのことだった

*25:2024年度(お役所的に正式には令和6年度)の犯罪白書から再犯率を探そうとしたのだがなく、再犯者の構成比のみ見つけることができたので一応貼っておくhttps://hakusyo1.moj.go.jp/jp/71/nfm/images/full/h5-1-3.jpg

*26:https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55811
改正前の強姦罪での判例だが、処女膜裂傷による出血を理由にただ強姦罪ではなく強姦致傷罪
このあたりは法学的に見解の割れるところらしく私にはとても調べきれなかった
少なくとも今回のような不同意わいせつでは被害者の性的経験の有無は罪の軽重に影響がなさそうという理解を持った

*27:本当にですよ?

*28:ある事件に遭遇して死にたくなったと述べたわけではなく、ただ、今後私が自死を選択することがあればその理由のほとんどは幼少期より絶え間なく続く親からの虐待とハラスメントであろうがしかし遭遇したある事件の苦しい記憶も確実に選択を後押しし最後のトリガーとしても働きうる、といった大意のことを述べただけなのだ

*29:私には各種SNSアカウントを突発的に削除する癖があってそれは制御できない(というかほかの力の及ばない問題の代償行動として転生してしまうのだという理解を持っている)ためここで出会った相互さんたちともまもなく絶縁することが確実なのだがそれでも80億分の1だけ繋がっていると思いたい、本当に本当に独りよがりながら

*30:犯罪白書を探したところ性犯罪の示談について触れた記述を見つけるには平成11年度のものまで遡る必要があるため、この言説の裏付けとするには頼りないhttps://hakusyo1.moj.go.jp/jp/40/nfm/n_40_2_5_4_4_0.html
あと私の環境の方に原因があるのかもしれないがサイト内の検索機能の日付ソートが働かず億劫だった

*31:よって致傷罪が付かない

*32:刑法第百七十七条

*33:刑法第十二条

*34:例外として刑法第十四条に加減の記載がある

*35:刑法第百七十六条

*36:事件以前にも自死企図歴があるためこれから自分でそのタイミングを選択したとて事件の影響を受けてのこととは社会的に扱われないのかもしれない
それを実際に知る術は私にはないし知りたいとも思わないが

*37:精神科では自分の今の心身の状態はお伝えしてお薬の処方などをしていただくが自分が何を経験したかの仔細まではお話しするのが難しい

*38:知的障がいがどういった帰結で逮捕できないことに繋がるのかはごく一瞬その点に触れただけのインタビュー映像からは確認できず、このあたりは誤解もありそうでこの映像に迂闊に言及すると差別的となってしまいかねない不安の一因となっているかもしれない

*39:https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/d8d8c5a445a1bcd247f58de166a5443c9ef130b2